「セブンよ見習え」SNS上で相次ぐ賞賛の声…セブンイレブンの“上げ底”弁当疑惑で注目されるデカ弁屋
格安からデカ盛りへ、看板商品『1キロ弁当』の秘策
都内に3店舗を構えるデカ盛りで有名な「キッチンDIVE」。24時間営業の弁当屋で、店頭には「挑戦者求む 1キロ弁当」の看板が掲げられている。 早速、店内に足を踏み入れると、そこには「1kg弁当」とラベルが張られた20種以上の弁当がずらりと並ぶ。びっしり底まで敷き詰められた米に、蓋を輪ゴムで止めないと外れてしまいそうなぐらい、肉やハンバーグ、揚げ物などの具材が詰まっている。値段は1000円~1800円(税込み)と、この量を考えるとかなりお手頃だ。 そして、そのすぐ横には、手で握った感が満載な「1キロおにぎり」という商品も…。値段は650円(税込み)と、食べきれるかは別としてこちらもかなりお得。 一体、どうしてこんなデカ盛りになったのか。 「最初はデカ盛りじゃなくて格安を売りにした『200円弁当専門店』だったんですよ。オープンした2010年当時はリーマンショックの後で、マクドナルドが80円でハンバーガーを、吉野家が250円で牛丼を売ってたりして、両店舗に行列ができていたんですね。『僕らもそういうのをやりたいね』ってことで200円弁当を始めました。 お客さんも順調に来てたんですが、しばらくして近くにあった商業施設が立て壊しになってしまった。その施設は年間1千万人ぐらいの来場客数があったので、それに伴って周辺の飲食店も軒並み閉店に追い込まれてしまい、客数が一気に減っちゃったんですね。『これじゃ客単価を上げるしかない』ってことで、2016年ぐらいから大盛りをウリにして『1キロ弁当』や『1キロおにぎり』を始めたんですよ」(伊藤さん、以下同)
「“底上げ”弁当ぐらいが、今の日本人にはちょうどいい」
コンビニ最大手のセブン-イレブンですら〝上げ底〟疑惑が浮上するほど、近年の物価高による影響で、苦戦を強いられる企業は少なくないが、「普通の弁当屋の5割以上は具材を入れてるんだよー」と満面の笑みで楽しそうに語る伊藤さん。余計なお世話だろうが、こんなデカ盛りにして経営的には大丈夫なのか。 「それが近くの商業施設が潰れてしまった時が一番大変で、それをきっかけにデカ盛り店に転じて『1キロ弁当』を始めてからは、景気はいいんですよ。コロナ禍もうちにとっては追い風だったぐらい。 最初はなかなかヒットしなかったんですが、しばらくしてネットニュースになったり、SNSでバズったりして、僕自身もSNSで発信するようになってからは、売り上げは安定的ですね。」 本店の亀戸店はJR亀戸駅から徒歩3分の国道沿いに店を構えるが、客層の8割は20~40代の男性だという。24時間営業なのもあってか、会社員のみならず夜間はタクシー運転手やトラック運転手など運送関係者の利用者も多い。 「デカ盛りにしたことで逆に売り上げがあがりましたよね。結局200円弁当よりデカ盛り弁当の方が客単価が2~3倍上がったし。家族で来る方も多いので、お弁当一つとお惣菜買ってもらうだけで1000円ぐらいになりますので」 そんな余裕の笑みを浮かべる伊藤さんに、改めてセブン-イレブンの“上げ底”疑惑に関して、率直な感想を聞いてみた。 「うちみたいに3店舗だけでやっているような弁当屋は、小さな商圏エリアで戦えるので、デカ盛りみたいな個性が出せるけど、セブンさんは2万店舗あるような最大手ですよね。しかも日本人の平均年齢が50歳と、どんどん上がっていく中でデカ盛りってそんな食べられないし売れないでしょ。上げ底されたぐらいのお弁当の量のほうが、今の日本人(特に50代)にはちょうどいいんじゃないかなと思いますけどね(笑)。 たしかに“上げ底”にはなってるけど、逆に底までたっぷりいれると、今500円で販売している商品を700円にしなくちゃいけなくなる。セブンとしては価格と量のちょうどいいところを取って、品質や見栄えを優先しているような気がしますね。 あとは、たっぷり具材の弁当を作ると、ついで買いをしてもらえなくなるってのもあるんじゃないかな。お弁当買ってもらって、もう一つお惣菜とか、お菓子とか、小分けにしていろいろ買ってもらったほうが客単価が取れるんですよ」 こうした騒動のなかで、今回の上げ底弁当疑惑に関しての受け止めと今後の展望について、セブン-イレブンの広報担当者に問い合わせた。 「このたび、一部報道やSNS等におきまして、お客様をはじめ関係者の皆さまにご心配をおかけし大変申し訳ございません。ご指摘いただいておりますSNS等での商品容器に関するご意見につきましても、当社として真摯に傾聴しており、今後も皆さまからの様々なご意見、ご指摘をいただきながら、さらなる改善に活かしてまいります」 苦境に立つセブンイレブン。今後の動向に目が離せない。 取材・文・写真/木下未希
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