消滅可能性を“脱却”できた理由とは? 熊本県は9市町村
2020年から2050年までの30年間で、若い女性の人口が減少することにより、消滅する可能性のある自治体が発表されました。一方で、10年前は消滅の可能性とされながら“脱却”した自治体もあります。
人口戦略会議によると、熊本県内で消滅可能性自治体と分類されたのは、天草市や水俣市など天草・芦北地方の全てと、県北は小国町や高森町、和水町、県南では、多良木町や湯前町など計18市町村です。 (氷川町民)「私は嫁に来て、氷川町が大好きなんですよ。なくなると聞いたときに寂しい思いをしました」 (天草市民)「天草から出ていく人の話の方をよく聞くし、残っている人は年齢層が上の人ばかりなので、学生さんに聞くと熊本市内に出ていきますと」 (球磨村民)「いいところなんですけどね。山ばかりの村といえば、それだけですけど、今から自然を生かしていく方向にいかなきゃいかんのかもしれない」
消滅可能性自治体から9市町村が“脱却”
一方で、前回2014年の調査で消滅可能性自治体とされながら、脱却したのは人吉市、南関町、長洲町、南阿蘇村、甲佐町、錦町、水上村、五木村、あさぎり町の9市町村。 このうち、南阿蘇村定住促進課の大山雄基さんは「空き家・空き地バンクと賃貸住宅の新築整備の補助金を活用して、移住者を南阿蘇に招き入れていることが一番の要因だと思う」と語ります。 南阿蘇村では、2021年に定住促進課を新設し、改築した空き家住宅を活用したお試し移住体験など移住定住の促進に力を入れてきました。
IT企業辞めて就農 移住の決め手は
「豊かな自然ときれいな水が決め手だった」と語るのは、熊本市から南阿蘇村に移住した吉田さん。IT企業に務めていましたが、移住後は、農業を始めました。地域おこし協力隊の新規就農プロジェクトを活用して、独立までの間も大変手厚いサポートや夢を実現するための協力が厚かったといいます。
TSMC進出の菊陽町など7市町村「自立持続可能性」
若い女性の人口減少率が20%未満の「自立持続可能性自治体」には、消滅の可能性から脱却した南阿蘇村をはじめ、合志市、大津町、菊陽町、御船町、嘉島町、益城町の7市町村。全国で沖縄、福岡に続いて3番目に多いという結果です。
カギは「TSMC効果を広げられるか」
地方行政に詳しい熊本県立大学の澤田道夫教授は「熊本地震による人口流出で、危機感を持ってまちづくりや子育て政策などを行った成果。拡大中のTSMC進出による好影響を県南にまで広げていくことで、持続可能な自治体を増やしていくことにつながる」としています。