【密着】ドイツ 廃墟の美しさに魅了され、写真家として生きる息子へ届ける両親の想い
ある日は、展示会に向けての撮影でハンガリーへ。どうしても撮りたい廃墟があるという。訪ねたのは、ブダペストにある100年以上前に建設された発電所。20年前に閉鎖されて以来、廃墟になっている。古い機械だけが残るがらんとしたスペースに足を踏み入れると、思わず「ヤバい…」と声が漏れる悠人さん。「ずっと片思いをしていた人にいきなり告白されたような気持ちです」と、念願だった場所での撮影に喜びがあふれる。そしてシャッターを切りながら、「自分の作品でみんなを幸せにしたり、驚かせたいという気持ちはある。それをプリントや展示で、大きい作品で見てもらえたらうれしい」と語る。 そんな様子に、「息子は愛想がない」と言っていた母・すみえさんは「すごく新鮮でした。結構饒舌に話もしていたので…」と驚く。一方、父・敏郎さんも「うちの息子は光の使い方がすごいな…と思うのは親バカかもしれませんが、私だったら自慢しまくるけど、息子はまったく言わない。内に秘めてるものが多い分、口には出てこないんですね」と感心する。
その時しか残せない一瞬を切り取る息子へ、両親からの届け物は―
美しい景色を誰かに伝えたいと、その時しか残せない一瞬を切り取る息子へ、日本の両親からの届け物は悠人さんの祖父が大切に使っていた約50年前のフィルムカメラ。さらに両親が撮りためた昔の悠人さんの写真も。その全てに幼い息子の溢れんばかりの笑顔が焼きつけられていた。「最近はあまり私たちの前では笑わなくなりましたね。でも、時折見せる笑顔はとても素敵です」という母の手紙を読み、笑みを浮かべる悠人さん。「自分が親になって、どの親も一緒なんだなって。子どもが一番かわいいし、何歳になっても変わらないんだろうなと。改めて、自分自身もそうなんだろうと実感しました」。 その後、悠人さんが祖父のカメラで一番最初に撮影したのは、新しく増えた家族の写真だった。 (読売テレビ「グッと!地球便」2024年3月10日放送)
読売テレビ「グッと!地球便」