奈良公園でK-POPだって?奈良県は自分たちで奈良を壊している
■ 億単位の費用、いかにも空疎な意義説明 入場者数は1万人を希望する韓国側に合わせて9000人にした。そのため会場は、広さの観点からと、「奈良らしいイベント」にするためには、そこしかないということで奈良公園に決めた。 また舞台の照明やレーザー光線などを準備し、オープンスペースゆえの警備も多数の人員を必要とすることで、イベンターから、経費の提示を受けた。結果「プロがこれぐらいかかるということで」、言い値を飲んだようである。 山下知事は記者会見で、「奈良らしい場所で大規模なイベントを行うことで、県のPRや経済効果につながる」と述べた。たしかにニュース発表だけで注目を集めはしたが、しかし経済効果の試算はまだしてない。県のPRも期待薄だ。 また費用についても、知事はSNSで、「億単位の費用はかかるものの」「これから両国の親善を担っていく世代同士の交流を深められる。そうしたお金に代え難い価値が生み出されると判断」した、と意義を説明したが、いかにも空疎である。 さらには「663年の白村江の戦いから続く、奈良県と忠清南道の絆をさらに深めることはこの一環であり、高い安いという次元だけで考えるべきではありません」と壮大な話に結びつけて、さもけちくさいことで反対すべきじゃないといいたそうに、強気なことをいった。 このように、どんな批判が出ても、県は、考え直す気はさらさらないのである。もう事がここまで進んでしまった以上、相手もあることから、ご破算にはできない。 ■ 鹿と芝生への影響を問いただしたものの 知事や役所はいろいろと意義を説明するが、結局「K-POPアーティスト」を招き、「奈良公園」でたった1日の「9000人の無料コンサート」を、「約2億7000万円」をかけて開催する、ということに尽きており、どんな御託を並べても、このバカげた事実はひっくり返せないのである。 奈良県の2024年度年間予算は約1630億円である。それからみると感覚が麻痺して、2億7000万円など“はした金”だ、と思いがちだ。 知事は、経費が「高い安いという次元」の問題ではないというが、普通の人間の生活感覚からすると、2億7000万円は巨額で、「高い安い」の問題である。しかもそれを1日で、蕩尽するのだ。 時事通信の記者が、「奈良公園で行った場合の鹿への影響」と「芝生の問題」について、大丈夫か、と問いただした。