<社会インフラを行く!>静と動の対峙「横浜ベイブリッジ×クイーン・エリザベス号」
2014年3月17日、英国の豪華客船クイーン・エリザベス号(Queen Elizabeth)が、横浜ベイブリッジの中央支間(center span)を通過した。当然のことながら、多くのメディアの関心は、主役としてのクイーン・エリザベスに向けられていたのであるが、巨大斜張橋と豪華客船は、ともに現役稼働する巨大構造物(Engineering Structure)であることは間違いない。 総トン数90,900トン、乗客定員2,000余名の豪華客船は、目の当たりにすると、その巨大さに圧倒されるが、一方では、過酷な交通流と自然環境の中、微動だにせず通過させた横浜ベイブリッジも称賛されよう。頼もしい限りである。 中央支間460m, 橋長860mの斜張橋(Cable Stayed Bridge)は、船舶の航行を最大限確保し、かつ、自重を支え、上載重量(車両の交通流)、巨大地震の揺れ、台風の横揺れに耐え、目いっぱいの支間距離と高さの内空間を確保することが、大きな使命である。 その日、干潮時を狙った橋下通過は、多くの見物客と乗客の見守る中、予定通り(計算通り)完了した。ともに近代工学の先端技術が凝縮された、世界最大級の豪華客船と長大斜張橋が、“静と動”に分かれて対峙した一時でもある。 (執筆:吉川弘道・東京都市大学教授)