大ブームだった『RIZAP』がまさかの赤字に…しかし「驚異的な復活」を遂げていた
他社との差別化、サービスの細分化が鍵
健康ブームが終焉に向かい、フィットネス業界全体が斜陽化する可能性はあるのだろうか。 「健康志向の流れはまだ当分続くと予想されますので、早々にはフィットネス業界の市場的な衰退は起こらないでしょう。ただ一方で、消費者の節約志向も強まっています。そのためフィットネス業界は現在さらなる転換期にあるのかもしれません。小規模事業者は大手チェーン企業との明快な差別化がない限り、厳しい競争に直面するでしょう」 独自性の高い魅力を提供していかないと、倒産の危機と隣り合わせの状況が続いていくということなのかもしれない。 「現在、『コナミスポーツクラブ』や『セントラルスポーツ』などの大手企業で、フィットネスクラブ市場の約7割程度を占めています。小規模事業者の倒産が増加していることもあり、今後はさらに大手企業の寡占化が進むと推測できます。さらに最近では、“女性専用フィットネス”と一口に言っても、ホットヨガやピラティスなどサービスがさらに細分化され、他社との差別化を目指す動きが顕著になってきました。これからフィットネスサービスは、さらなる細分化が予想されるでしょう。 『国際ヘルス・ラケット&スポーツクラブ協会』の2018年の調査によれば、日本のフィットネス参加率は3.33%と低い水準にとどまりますが、アメリカは20.3%、イギリスは14.8%と欧米のフィットネス人口のほうが断然多いです。サービスの差別化や細分化はすでに限界に達したように感じられるかもしれませんが、フィットネスのトレンドは欧米から流れてくる傾向があり、日本にはまだない新業態や新興勢力が登場する余地は十分にあるのです」 市場規模の拡大と健康ブームの継続が予想されるなか、より低料金・短時間のサービスや、都度払いシステムのジムなど、新たなフィットネスのビジネスモデルが続々と出現するのかもしれない。 昨年度はフィットネスクラブの倒産件数は過去最多となったが、それは業界全体の斜陽傾向を意味しているのではなく、戦国時代的な競争の激化の末に起こった事態だったようだ。 (取材・文=逢ヶ瀬十吾/A4studio)
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