トランプに暗雲 無党派層の半数超「選挙戦から撤退すべき」
元不倫相手への口止め料支払いをめぐり業務記録改ざんの罪に問われ、米ニューヨークの陪審団から罪状34件すべてについて有罪の評決を受けた共和党のドナルド・トランプ前大統領について、無党派の有権者の半数超が2024年の大統領選から撤退すべきと考えていることが世論調査で明らかになった。有罪評決を受けたトランプに世論の厳しい見方を示す調査結果が相次いでいる。 ABCニュースと調査会社イプソスが2日に発表した共同世論調査によると、米国の有権者全体では49%が、トランプは有罪評決を受けて選挙運動を打ち切るべきだと回答した。この割合は4月の調査から1ポイント上がった。 無党派層ではトランプの撤退を求める人の割合が52%にのぼっている。トランプと民主党の現職ジョー・バイデン大統領のどちらの立候補にも反対するいわゆる「ダブルヘイター」では67%、共和党支持者では16%だった。調査は評決翌日の5月31日と6月1日に行われた。 調査会社モーニング・コンサルトが5月31日に実施した世論調査では、登録有権者の54%が有罪評決を「強く」または「どちらかというと」支持すると答えた。一方で、トランプに対する実刑判決には約半数が反対し、ふさわしいと思う刑罰としては罰金(69%)が最も多く、次が保護観察(49%)だった。 この調査でも、無党派層の49%がトランプは大統領選から撤退すべきだと答えている。 ロイター通信とイプソスが有罪評決直後に実施した共同世論調査によると、共和党支持者の56%は有罪評決で投票先を変えることはないとし、35%はむしろトランプに投票する可能性が高まったと答えている。 ただ、共和党支持者でも、有罪評決を受けてトランプに投票する可能性が低くなったと答えた人が10%いた。無党派層ではそう答えた人は25%、逆にトランプに投票する可能性が高くなったと答えた人は18%だった。
選挙戦の鍵を握る州ではこれまでトランプが優勢だったが…
■第三極の候補で構図複雑に ABCニュースとイプソスの調査結果によると、この件でトランプが罪に問われたのは政治的な動機に基づくと答えた有権者は無党派層でも51%にのぼった。共和党支持者では83%、民主党支持者では20%だった。 最近のいくつかの世論調査でもトランプとバイデン支持率はなお拮抗しているが、第三極の候補がバイデンを不利にする可能性もある。米公共ラジオのNPRとPBSニューズアワー、マリスト大学が5月30日に発表した共同世論調査では、バイデンはトランプとの直接対決なら2ポイントのリードを保っているものの、無所属のロバート・F・ケネディ・ジュニアのような第三極の候補を含めるとトランプがバイデンを4ポイント上回るという結果になっている。 勝敗を左右するスイングステート(揺れる州)では、これまでトランプがやや優勢となっている。ブルームバーグ通信とモーニング・コンサルトが5月、有罪評決前に実施した共同世論調査では、スイングステート7州全体の支持率でトランプがバイデンに4ポイント差をつけていた。 トランプに対する量刑は7月11日に言い渡される予定となっており、最も重い場合は禁錮136年、罰金17万ドル(約2600万円)を科される。トランプは有罪評決を不服として控訴する方針を示している。
Brian Bushard