【阪神JF】二つの”伸び”に期待キャットファイト 穴馬は素質感じるステレンボッシュ
内~中目から差せる馬が有利
過去10年では2019年と22年こそ前半4F45秒台の極端なハイペースになっているが、大半は46~47秒台の平均ペース前後で収まることが多い。しかし、3着以内に入線した逃げ馬は、19年のレシステンシア(1着)のみ。先行馬も3勝、2着1回、3着1回となっており、他レースと比較しても圧倒的に3着以内の回数が少なく、中団よりも後方でレースを進める馬が活躍している。極端にペースが上がらなくても前が崩れることが多いのは、スローペースで逃げ、先行して勝ち上がってきた馬が多いからだ。 【阪神ジュベナイルフィリーズ2023 注目馬】メンバー1のスピードと持ちタイムで2歳女王を狙う! SPAIA編集部の注目馬を紹介(SPAIA) 今回もそれなりに逃げ先行型が多いことから、差し有利と見る。ただし、秋の阪神開催が3連続(10~12月)で行われた21年こそ外差し有利だったが、基本的に内からでも粘れている点には注意したい。また過去3年は変則開催でやや時計も掛かっていたが、5回京都→5回阪神に替わる開催は高速馬場となるため(今年は3回京都→5回阪神)、3~4角で外を回るとロスを作ってしまうので、内~中目から差せる馬が有利だろう。それを中心に予想を組み立てたい。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 コラソンビート】 新馬戦こそ後の重賞活躍馬ボンドガール、チェルヴィニアに敗れたが、そこからは破竹の3連勝で京王杯2歳Sを優勝した。前走の京王杯2歳Sは7番枠から出遅れたが、促されると楽に中団外目まで挽回。3~4角ではミルテンベルクをマークし、直線序盤で同馬の外に誘導して追われると、一気に3番手まで上がる。そこからもしぶとく伸びて、ラスト1F地点では先頭と3馬身ほどの差をしっかり詰め切ってクビ差で勝利した。 前走はコンクリート馬場で緩みない流れ。けっして前が楽な流れではなかったが、ラスト1Fで加速した点は褒められる。ゲートは甘いが二の脚で挽回できるほどの能力があり、メリハリのあるレースぶりからも完成度の高さがうかがえる。ピッチ寄りの走法だが、ゲートの甘さを挽回して自在性が生かせるという意味ではマイルの方がいいだろう。ただし、休養明けで自己最高指数を記録した後の一戦となるので、今回で疲れが出る懸念もある。過信は禁物だ。 【能力値2位 ナナオ】 前走のもみじSを重賞通用レベルの指数で勝利した馬。前走は2番枠から好スタートを決めて、二の脚でじわっとハナを主張。ハナを取り切るとペースをコントロールしての逃げ。3~4角で後続を引き付け、1馬身差のリードで直線へ。外からフェンダーが動いて本馬を捉えにかかると、そこからもうひと伸びしてラスト1F標地点で1馬身差。最後までその差を詰めさせず、1馬身半差で逃げ切った。 前走は重馬場で時計の掛かる馬場で、前半3F37秒6の超スローペース。しかし、上がり3F最速タイムのフェンダーと0.1秒しか変わらない2位の上がり3F33秒8でまとめた内容は評価できる。 前々走の函館2歳Sでも9番枠から好スタートを決めて、内の逃げ馬スカイキャンバスと競り合いになりそうな勢いだったが、少し控えて同馬の外を追走とコントロールが利いている。今回は前走からさらなる距離延長となるが、折り合う競馬もできるので意外と侮れない。 【能力値3位 ドナベティ】 ファンタジーSの2着馬。同レースでは1番枠からまずまずのスタートを切ったが、すぐ外のピューロマジックがハナを主張していったので、控えて中団の最内を追走。3~4角でも中団の最内を上手く立ち回り、直線序盤で前のスペースに飛び込んで最内を通してしぶとく伸び、ラスト2Fでは3列目まで上がる。ラスト1Fではそのまま内ラチ沿いを突いて勝ち馬カルチャーデイに半馬身差まで詰め寄った。 前走は前がペースを引き上げて、前半3F34秒1-後半3F35秒2とかなり速い流れを作ったことで、完全に展開がハマる形となった。これは本馬よりも前の位置から3~4角で最短距離を立ち回ったカルチャーデイにも同じことが言える。 ただ前々走のすずらん賞で内から寄られる不利があって後方2番手からの追走となり、3~4角の大外から押し上げて差し切った内容は強かった。同レースでは最後の直線で追えないほど激しく内にモタれており、成長途上であることがうかがえる内容でもあった。前走でいきなり超高速馬場に対応できたことは評価できる。 今回は前走から一転して大外18番枠。距離が延びて良いとは言えないタイプだが、この枠だと3~4角で距離ロスが生じる懸念がある。一方で、まだ伸びしろはありそうな気がしている。 【能力値4位 キャットファイト】 6月東京のボンドガールが勝利した新馬戦では6着敗退。この新馬戦では出遅れて中団からの追走になり、好位の直後を追走したコラソンビートに伸び負けする形。あまり見せ場がなかった。 しかし、そこから立て直された前々走の新潟未勝利戦では快勝。3~4角で中団馬群の中目で包まれて、直線序盤で進路がなく後退する不利を受けるも、ラスト2Fで位置を下げ切って、残り300mあたりで外に誘導すると、そこからしっかり伸びて1馬身3/4差で初勝利を挙げた。不利があったので、そこまで好指数は記録できなかったが、良い内容だった。 そして前走のアスター賞では、6番枠からまずまずのスタートを切って、すっと内に入れて3番手を追走。終始開いていた最内をつき、3~4角で2列目まで上がる。直線序盤で逃げ馬の外に誘導されると、ラスト1F付近で先頭に立ち、そのまま突き抜けて5馬身差で圧勝した。 前走はゴール板を過ぎてもまだ伸びていくような走り。それはラスト2Fの11秒6-11秒3の数字にも出ている。ここでは新潟2歳Sの優勝馬アスコリピチェーノを上回り、京王杯2歳Sの優勝馬コラソンビートと同等の指数を記録した。キャリア3戦目でコラソンビートのダリア賞優勝時の指数を上回り、京王杯2歳Sと同等の指数を記録した点は優秀だ。 前走時のラスト1Fの伸びからまだ余裕がありそうだし、前走から再び休養させ、成長を促しているのでさらなる伸びしろを感じる。エンジンが掛かってからが強いタイプなのでもっと距離があったほうが好ましいが、ここは通過点と見て本命候補とする。 【能力値5位 シカゴスティング】 ファンタジーSの3着馬。同レースでは11番枠から五分のスタートを切って、そこからは二の脚で挽回して好位の外目を追走。コントロールして徐々に位置を下げて、中団の内目を狙っていく。3~4角ではドナベティのひとつ外を回って窮屈になったが、それでも直線の内を狙って仕掛けを我慢、序盤で内のドナベティとともに伸びて3列目まで上がったが、先に動いたドナベティとの差は最後まで詰め切れず、クビ差で敗れた。 ファンタジーSは前半3F34秒1-後半3F35秒2とかなり速い流れ。それを内目の枠から最短距離を立ち回った上位2頭は恵まれたが、本馬は外目の枠から前半で少し出してそこから控え、3~4角では上位2頭よりもひとつ外を回るロスがあった。前走内容は前記2頭を上回るものだったが、今回は休養明けで自己最高指数を記録した後の一戦。コラソンビート同様に、今回で疲れが出る不安がある。そういう意味ではドナベティの方が分はよさそうだ。