“映画を愛し、愛された男” 名古屋のミニシアター副支配人密着作品が話題
名古屋駅のミニシアター・シネマスコーレで、映画『劇場版シネマ狂想曲~名古屋映画館革命~』(以下、『シネマ狂想曲』)が公開中だ。同作品は、シネマスコーレの副支配人・坪井篤史さんに密着した、メ~テレ(名古屋テレビ放送)制作のドキュメンタリー番組を再編集したもの。舞台となった映画館での上映でも話題となっている。
深夜放送の番組で異例の反響
ドキュメンタリー番組『シネマ狂想曲』は、「名古屋テレビ映像」の樋口智彦ディレクターが半年間、坪井さんに密着して取材・撮影し、2月1日にメ~テレで放送された。東海地方限定の深夜放送ながら、ツイッターのトレンドトップ10入り。映画の魅力を多くの人に伝えようと奮闘する坪井さんの姿に感動したという声や、他の地方から「番組を見たい」という要望が数多く寄せられた。これに応える形で映像を追加した劇場版が制作され、4月29日から上映されている。 シネマスコーレは、1983年2月に映画監督の故・若松孝二さんが立ち上げたミニシアター。アジア映画やインディーズ作品など、ジャンルにとらわれないラインナップと、一体感のある51席の客席、作品をより深く楽しめる独自のイベントなどが魅力で、遠方から訪れるファンも多い。
人を動かす強烈な“映画愛”
坪井さんは現在38歳。2001年にシネマスコーレに入社して以来、チケットのもぎりや掃除から、上映作品の選定やフィルムの編集、宣伝やイベントの企画まで、同館の多様な業務を担当している。 多忙な毎日の中で、仕事以外の映画鑑賞や趣味であるVHSテープの収集、家族サービスも怠らない。また、2007年からは愛知淑徳大学の非常勤講師も務めている。あふれる“映画愛”を、軽妙で飽きさせない話術に乗せて伝えられるのも坪井さんの特長で、未来の映画ファンを育てるための映画講義は、映画に興味がなかったという学生にも好評だ。 坪井さんは映画関係者からの信頼も厚く、『シネマ狂想曲』にも、『貞子vs伽椰子』の白石晃士監督、『フラッシュバックメモリーズ 3D』の松江哲明監督など多くの監督が登場し、坪井さんの人物像について語っている。「僕よりも映画を愛している」、「監督の味方になってくれる人」といったコメントが印象的だ。