福井県知事の“初夢”は「小浜までの先行開業」 認可・着工の見通し立たず混迷する北陸新幹線延伸の議論に一石か
2025年度の認可着工が見送られた北陸新幹線の敦賀-新大阪間。停滞感か漂う中、福井県の杉本知事が”小浜先行開業”という新たな方針を打ち出した。一部で“米原ルート再考”の意見が再浮上するなど混迷を極める中、 早期全線開業への打開策となるのか、注目される。
大阪までの早期全線開業へ新たな一手となるか―
1月9日、福井県庁で新年初の会見に臨んだ杉本達治知事。北陸新幹線の大阪までの早期全線開業に向けて、「個人的な初夢」と前置きしたうえで「小浜までの先行開業を提案・議論していきたい」と発言した。 福井県・杉本知事:私、個人の初夢として申し上げると、小浜・京都ルート中でも小浜先行開業はあるのではないかと思っている。全体の1日も早い全線開業を念頭に置きながら、小浜の先行開業を進められないかを申し上げていきたい。
混迷する敦賀以西の議論
北陸新幹線の敦賀-新大阪間のルートを巡っては、与党整備委員会が「小浜・京都ルート」で2025年度中の認可・着工を目指していたものの、2024年12月、沿線自治体の京都府などから、財政負担や工事に伴う地下水への影響、トンネル掘削時の残土処理などへの懸念が示され、認可・着工の具体的な時期が白紙となった。 混迷の色が深まったなかで、杉本知事が打ち出した「小浜先行開業」という新たな一手。メリットについて知事は「全線開業が早くなるし、工事が進捗しやすい。事業費も、敦賀小浜間の事業費が安くでき、金利分や工事費や人件費全体事業費にもいい影響がある」とした。
原子力災害時の住民避難の手段としての位置付けも
さらに「原子力立地地域として、小浜まで先に新幹線を通すことで、住民の避難路としての効果があることを国に求めたい」と続けた。 今後の進め方については「県としての目標にするかどうかは、これから事務局や議会と相談していく。私はいけると思うが、障害もある。無理に進めようとも思わないが、やってみる価値はある。小浜先行開業議論をそ上に乗せる努力をしたい」とした。 知事はあくまで「初夢」という表現をしたが、認可・着工の具体的な時期が見込めない「小浜・京都ルート」での早期全線開業に向け、“国や沿線自治体としっかり議論をしたい”という福井県側からのボールを投げた形と言えそうだ。今後の議論の行方が注目される。
福井テレビ