逮捕の元宝塚トップスターが懇願していた「『紀州のドンファン』を紹介して」が実現しなかったわけ
吉田氏に、ディナーショーや小倉容疑者について聞いてみた。 「実はショーの1カ月くらい前、東京・銀座4丁目の喫茶店で小倉容疑者と会い、『紀州のドンファンを紹介して』と頼まれたんです。ドンファンは金持ちですからね」 吉田氏は「紀州のドンファン」こと野崎氏を長く取材し、多くの記事を執筆してきた。 ■ドンファンの会社に連絡していた? 「紀州のドン・ファン殺害 「真犯人」の正体 ゴーストライターが見た全真相 」(講談社+α文庫)などの著書があり、野崎氏とは親しい関係にあった。その野崎氏は和歌山県田辺市の自宅で2018年5月、急性覚醒剤中毒で不審死を遂げ、殺人事件として立件された。 野崎氏が生前の2016年12月に発売された「紀州のドン・ファン 美女4000人に30憶円を貢いだ男」(講談社+α文庫)は、「美人と付き合いたい」と願い続けて大金持ちに成り上がった実業家、野崎氏の自伝だ。 「ドンファンの本が出て、全国からファンレターや電話が、当時の野崎氏の会社に来ていたんです。小倉容疑者もその一人だった。会社から『吉田さんに連絡を取ってみたら』と言われたそうで、私と会うことになったんです」(吉田氏) 彼女は、金銭面で工面してもらう目的で、野崎さんに近づこうとしたのだろうか。 今回の事件の一連の報道では、 産経新聞などが、小倉容疑者は退団後、金銭をめぐるトラブルが絶えなかった、と報じている。佐川急便グループの元会長を頼り、佐川急便側から提供された1億3千万円を巡って訴訟になったり、今回の事件の被害者とは別の女性からも1千万円以上を詐取した疑いがあったりと、金銭にまつわる話は多くあったようだ。 こうした点について吉田氏は、こう話す。 「ドンファンと会って、カネの相談ができるか考えようとしていたんじゃないのかな。ドンファンは女性に弱いからね」
■いわゆる女王様タイプ ちなみに、吉田氏は、銀座で小倉容疑者とその話をしたときに、お台場でのディナーショーのチケットを2枚もらい、その1枚を筆者にくれたということらしい。 そして、小倉容疑者が望んだ野崎氏との接触だが、吉田氏は最終的には彼女を野崎氏につなぐことはしなかったという。 「だって、ドンファンが付き合う女性は20代前半まで、というのを知っていたからね。だからこそ、21歳の女と結婚したわけだし。小倉容疑者は当時70歳くらい。ドンファンの好みとは合わなかったから紹介しなかった」 吉田氏は最後、小倉容疑者の印象についてこう語った。 「彼女の話し方はいわゆる女王様タイプ。プライドが高い感じだった。まあ、宝塚のトップスターになれる人って限られているからね」 一度、トップで華美な世界を知ってしまうと、手放すのはなかなか難しいのだろうか……。 (AERA dot.編集部・上田耕司)
上田耕司