ことし１１月に法律が改正され、酒気帯び運転など自転車の罰則が強化されました。忘年会シーズンを前に、広島市でおこなわれた警察の取り締まりに密着しました。 先週金曜日の広島市の平和大通り。 行われているのは自転車の飲酒運転の取り締まりです。 車の取締りに使うのと同じ検知器を使います。 広島中央警察署交通第２課の猪田将太巡査部長。 普段行う白バイでの取り締まりと少し勝手が違うようです。 「すみません。こんばんは。中央警察署の猪田と申します」 午後１１時飲み会帰りの人がちらほら増える時間帯です。 前を通る自転車を止め、まずは簡易的な検査をおこないます。 「すみません。すみません！追いかけろ！」 「流し」と呼ばれる取り締まり。 帰宅を急ぐ人も多く呼び止めるのも一苦労です。 開始からおよそ１５分。 「今、自転車の夜間の飲酒の取り締まりをしていて、ご協力を。飲んでないですかね？」 「ちょっと飲んでいます」 「ちょっと飲んでいる？ちょっと検査だけお願いしていいですか。申し訳ないです。飲み帰り？」 「そうです」 「ああ」 自ら酒を飲んだことを申し出た女性。 簡易検知器で調べますが… 「出んすね」 レモンサワーを１杯飲んだということでしたが、簡易検知器では反応せず、念のため、詳しく調べることにしました。 【検知器音】 「はい、ＯＫです」 飲んでから時間が経っていたのか、アルコールは検知されませんでした。 「（アルコールが）出たらどうなるんですか？」 「５０万円以下の罰金」 「やば…え、やば…」 「飲みに自転車で行っちゃだめですよ」 「わかりました」 「お願いします」 飲酒運転の罪の重さに気づいた女性。 繰り返さないことを誓い、その場を後にしました。 今年１１月から自転車でも基準値を超えたアルコールが検知されると、車と同じように酒気帯び運転となり、３年以下の懲役又は５０万円以下の罰金がかせられることがあります。 違反者には比較的重い違反に対して交付される「赤切符」が切られます。 警察官が呼び止めた一人の４０代の女性。 口からは酒の臭いが…。 簡易検査でアルコールが検知されました。 「０．２１」 詳しい呼気検査で基準値以上のアルコールが検出され赤切符が切られました。 【広島中央警察署・佐々木忍警部補】 「中ジョッキビールを二杯。そんぐらい出るかなっていうところですね」 Q：飲酒運転がいけないっていうのは知ってる？ 「知ってますよね」 Q：厳罰化してるのも知ってる？ 「知ってますよねー。距離が近かったんで、大丈夫だろうと（思ったらしい）」 この日は平和公園付近でも取り締まりが行われ、およそ３時間で合わせて３人を検挙しました。 警察によりますと、厳罰化が始まった１１月の１カ月間だけで、酒気帯び運転で検挙されたのは県内で３７人。 最も多いのが５０代です。検挙された人たちは「大きな通りを通らなければ警察にばれることはないだろうと思っていた」「車のように捕まるとは思っていなかった」などと話していたということです。 一方、自転車と車がぶつかり、その事故が原因で自転車の飲酒運転が発覚するケースもありました。 【広島中央警察署・猪田将太巡査部長】 「自転車だったら大丈夫っていう気持ちを持った状態で運転する方っていうのがまだ中には多いのかなという印象を受けています。自転車といえども、お酒飲んで運転したりだとか危険な運転をするとやはり重大な事故につながる乗り物でもありますんで、悪質なものについては厳しく検挙していく必要があると思います」 死亡事故にもつながる恐れのある自転車の飲酒運転。 自転車も「飲んだら乗るな」を徹底する必要があります。 《スタジオ》 ここからは取材した毛利記者に話を聞きます。 【毛利記者】 「私が密着した平和大通りの取り締まりだけでも、お酒を飲んだということで詳しい検査をした人が４人いました。みなさん厳罰化したことは知っているようですが、飲酒運転した人はやはり車ほど取り締まりが厳しくないだろうと思っているのかなという印象を受けました」 一晩で４人ということですが、１カ月となると結構いるんでしょうか。 「ＶＴＲの中でも３７人が検挙されたとお伝えしましたが、年代別の内訳は５０代が１３人と最も多く、その次が２０代の９人となっています。 また、検挙のきっかけは、検問のほかにも、無灯火で乗っていたとか信号無視をしたとか交通違反を見つけた警察官の職務質問で発覚することが多いようです。 １１日も東京で男性が逮捕されたというニュースがありましたし、広島でも悪質なケースは逮捕に踏み切ることはありそうです。改めて自転車であっても、お酒を飲んだら乗ってはいけないということを徹底しないといけません」 忘年会シーズンですけれど、気を緩めることなく改めて意識を徹底したいなと思います。