ルール変更で負担軽減も…大谷、球宴での本塁打競争出場は不透明 MLBと球団の思惑交錯
米大リーグのオールスター戦(7月16日・アーリントン)の前日に開催される本塁打競争の新たなルールが発表されたことを巡り、ドジャースの大谷翔平選手(29)の動向が注目されている。今年は1対1の対戦形式が準決勝から採用され、球数も制限されるなど、以前に比べて打者への負担が軽減された。米大リーグ機構(MLB)は大谷の参加を望んでいるとみられるが、打者の負担の大きい本塁打競争への参加は、ドジャースにとっては回避してほしいのが本音とみられる。MLB、球団双方の思惑が交錯する中で、大谷も難しい決断を迫られそうだ。 【写真】打席に入った際、バットでのルーティンを行うドジャース・大谷 ■昨年までは球数制限なし 本塁打競争を巡っては、昨年まで1回戦から1対1のトーナメント形式で争われ、球数の制限もなかった。そのため、打者は制限時間(4分)までひたすらスイングし続ける必要があった。 大谷(当時エンゼルス)は2021年に行われたオールスター戦で、本塁打競争に参加。1回戦でソト(当時ナショナルズ、現ヤンキース)と対戦したが、敗退した。21年は前半戦で33本塁打をマークしていた大谷だったが、オールスター戦以降の後半戦は13本塁打にとどまった。 大リーグ評論家の福島良一さんは「これまでの本塁打競争は体力の消耗が大きく、バッティングフォームを崩す要因にもなっていた」と指摘する。 MLBから6月30日に発表された新たなルールによると、1回戦は出場選手8人全員で争われ、上位4人が準決勝に進出。準決勝と決勝は1対1のトーナメント方式で行う。準決勝までは3分間または最大40球、決勝は2分間または最大27球と、球数の制限も設定された。福島さんは「今回のルール変更は、打者への負担を減らすことが最大の目的」と指摘する。 ■ジャッジは不参加を表明 ファン投票の中間結果で大谷はナ・リーグ指名打者部門の1位につけており、オールスター戦には4年連続の出場が期待されている。ただ、本塁打競争への参加については現時点で態度を保留している。一方、ア・リーグで本塁打トップを快走しているジャッジ(ヤンキース)は本塁打競争への不参加を表明した。 米紙USAトゥデー(電子版)は「(MLBの)関係者は大谷に本塁打競争への参加を強く働きかけるだろう」と予測。「大谷の存在は、放送の視聴率に大きな違いをもたらす」と指摘した。一方で、「仕事量を考えると、彼には(本塁打競争を)やってほしくない」とするドジャースのロバーツ監督の談話も紹介した。
福島さんは「本塁打競争は、若手スターのアピールの場という側面もある」と指摘した上で「MLBとすれば(大谷に)本塁打競争には当然出てほしいだろうが、ドジャースにとっては出てほしくない、というのが本音ではないか」としている。(浅野英介)