公益通報に動いた町職員の処分「資料不開示」 他自治体の職員が提訴
福島県国見町が計画した高規格救急車の研究開発事業が中止になった問題で、事業をめぐり公益通報に動いた町職員の懲戒処分に関する資料の情報開示請求を町が不開示とし、波紋を広げている。開示請求したのは愛知県西尾市の幹部職員。不開示を受け、町を提訴する事態になっている。 町の会計管理者だった男性職員(54)は、救急車事業に官製談合の疑いがあるのではないかと疑問を抱き、契約資料を町監査委員事務局に提供したり、外部への公益通報を準備したりした。この行為が問題視され、今年3月に減給10分の1(6カ月)の懲戒処分と管理職から一般職への降任処分を受けた。 西尾市の幹部職員の男性は、この報道を目にして「同じ公務員として懲戒処分が妥当だったのか根拠を知りたい」と考え、処分に関する資料を町に開示請求した。しかし、町は町情報公開条例に規定する「個人情報」であることを理由に不開示を決定した。 男性が不服として審査請求すると、町側は、条例が「何人も」と定める開示請求権者は「町内在住・在勤者」などとする見解を示して却下。その一方で町は、男性が同時に請求した救急車事業そのものに関する資料は開示しており、男性は取材に「ちぐはぐな対応だった」と語る。 男性は6月、町を相手取り、不開示決定の取り消しを求めて提訴。町の条例では個人情報の除外規定に「公務員の職務遂行にかかる情報」を挙げていると指摘したのに対し、町側は「処分は私事に関する情報の面も含み、職務遂行にかかる情報には当たらない」などと反論している。 今月5日にあった第3回口頭弁論では、裁判所側が町側に対し、部分開示できない具体的な事情の説明を求めた。次回期日は12月24日で、結審する見通し。(酒本友紀子)
朝日新聞社