ロシア軍、「バイク突撃」戦術のギア上げる 犠牲も増大
ドローンを出し抜く速攻戦術とみられるが、犠牲が膨らんでいる
ロシア軍が最近、ウクライナ南部とみられる戦場で行った攻撃作戦では、まず第1波として戦車などの装甲車両の車列が突撃してきた。それがウクライナ側の大砲やドローンによる防御の壁に阻まれると、第2波として徒歩やオートバイで歩兵が送り込まれた。 結果は悲惨なものだった。ウクライナ軍のドローン操縦士、コールサイン「Kriegsforscher(クリークスフォルシャー)」は「一度に大砲6門が彼らの陣地に砲撃を加えたこともあった」と振り返っている。 この数週間に、ウクライナ軍の少なくとも4個旅団(第28、30、54各独立機械化旅団と第79独立空中強襲旅団)が、突っ込んで自爆するFPV(一人称視点)ドローンや、擲弾(てきだん)を投下するドローンでロシア軍のバイク兵を攻撃している。一部の部隊がオートバイに取り付けている即席の装甲は、残念ながらあまり役に立っていないようだ。 ロシア軍が新たに編み出したオートバイ戦術については、個々の兵士を空中から発見されて攻撃される前に素早く目的地にたどり着かせることで、ロシアの戦争努力に寄与するのではないかという見方もこの春にはあった。 実際には、バイク兵は砲撃やドローン攻撃に対して救いようがないほど脆弱であり、犠牲者は増える一方となっている。しかし、使える装甲車両があまりに少ないロシア軍にとって選択肢は限られる。 そこそこ新しいBMP歩兵戦闘車を入手できる幸運に恵まれなければ、ロシア軍の部隊は50年物のMT-LB装甲牽引車や、俗に「ゴルフカート」と呼ばれている中国製の全地形対応車(ATV)、あるいはオフロードバイクでどうにかするしかないだろう。 ほかにもうひとつ、徒歩で戦闘に赴くという選択肢があるが、これはオートバイで乗り込む以上に危険だ。
David Axe