活況の建設業なぜ若者避ける?国が改善に乗り出した社会保険未加入の放置
東京五輪の開催が3年後に迫り、東京ではいたるところで工事が進められています。活況を呈する建設業界ですが、その足元では業界全体を揺るがしかねない事態が進行しています。それが、業界の次世代を担う若者離れです。 建設業は技術者・事務系を含め、500万人以上が従事しているといわれます。総務省の労働統計調査(2016年7~9月)によると、建設業就業者の年齢構成は15歳~29歳までが11.2%、30歳~39歳まで18.7%となっています。一方、65歳以上は13.7%を占め、その割合は増加傾向にあります。業界全体で高齢化は顕著になっているのです。 長らく若者が建設業に就業を希望しない理由は、“きつい”“きたない”“きけん”といった3Kが原因だとされてきました。そうした3Kが建設業から若者を遠ざける一因になっていることは言うまでもありません。そうした3K以外にも建設業界には問題がありました。それが、健康保険・厚生年金・雇用保険といった社会保険の未加入問題を放置してきたことです。 今般、政府は働き方改革を進めていますが、建設業界では国土交通省が旗振り役になって社会保険の未加入問題の解決に乗り出し始めました。
バブル崩壊後、建設業界で法定福利費の削減が進行
高度経済成長・バブルといった日本経済が輝かしい頃、建設業界は活況を呈していました。ピーク時の1992(平成4)年度の建設投資額は、84兆円。建設業就業者は619万人にものぼっています。 しかし、バブル崩壊とともに建設業の需要は減少。下請け業者は仕事を確保するために価格競争を強いられました。作業の効率化をはじめ人件費の抑制、工期の短縮といった観点から建設業界でも機械化が進められていますが、それでも人を主力とする産業であることは変わりません。そのため、機械化による人件費の抑制には限界があります。建設業者は人件費の圧縮によって売上減少を乗り切ろうとしたのです。 そうした人件費抑制の流れの中で、真っ先に削減されたのが健康保険・厚生年金・雇用保険といった従業員の法定福利費でした。これら法定福利費は、労働者が安心して働くためには欠かせないものです。