実習で「教員にならない」決断をする学生も… 教員採用試験の倍率は過去最低 長時間労働で“なり手不足”深刻化
なりたくても“できない”と感じてしまう教員という仕事。このまま目指す人が減ると、教育の質の低下が懸念されるとの指摘もあります。 東京学芸大学の岩田康之教授は「例えば、学校の先生が信用できないから塾や家庭教師で補えばいいやと考える親御さんが増えてくると、学校以外で教育を受ける機会を持たない子もいますので、格差が拡大していく影響もあると思います」と分析します。
学生の不安を解消するカギは現役教員の“生の声”
教員を目指すことに不安を口にしていた寺島さんは、現役教員を招いた勉強会に参加しました。実際の働き方などを知りたいと、岐阜県内の大学に通う学生が主催したもので、20人ほどの学生が集まり、不安の声も聞かれました。 大学1年生: 「仕事をするために生きるんじゃなくて、生きるために仕事をしているのに、なんで仕事で病まなきゃいけないんだろうみたいな考えなんですけど」 大学4年生: 「残業時間とか残業代が出ない状況で、僕は早く帰りたいと思っているんですけど、それを良く思わない先生とかも多いんじゃないかなと思っていて」 高校教員: 「毎日学校に通って授業をする。めちゃめちゃいい仕事だなって思う。だからこそ適正な仕事量の現場に変えてきたい」 勉強会に参加した寺島さんは、教員の見方が良い意味で変わったといいます。現役の教員から直接話を聞いたことで、教員の働き方は良くなっていくと希望が持てたようです。
自治体も動き始めています。三重県四日市市の学校で行われたのは、先生たちの「授業実践研修」。三重県では去年から、大学生が実際の研修に参加できる取り組みを行っています。学生は、授業を見学するだけでなく実践もあり、現場に入り働くイメージを持ってもらう狙いです。 研修に参加した三重大学教育学部4年の小川みゆきさんは、このように感想を話します。 三重大学4年 小川みゆきさん: 「(教育実習だけでは)先生方の思いを聞く機会がない。姿を見て感じることしかできないので。(研修では)子どもたちに対する熱意とか愛情を感じたし、すごくいい経験だったと思います」 長時間労働の改善とともに、このような取り組みが広がっていけば、教員の“なり手不足”も解消の糸口が見えるかもしれません。