【解説】相次ぐ“自動車不正”…制度そのものにも疑問の声 浮き彫りになった2つの《課題》
■課題(2)“「認証のプロ」が官民で不足!?”日本全体の人手不足
相次ぐ“自動車不正”は、日本が直面する「人手不足」の課題も浮き彫りにした。 例えばトヨタの会見では、豊田会長自身も「認証制度をよく理解できていなかった」とした上で、認証の「全ての工程を理解した人がおらず、属人的な技能に頼っている部分もある」と説明した。トヨタほどの大企業ですら、認証に関わる専門知識を持つ人材が不足している側面も露呈した。 しかし、人手不足についていえば、認証を担う側である官庁の人員不足も課題である。ある政府関係者は、「不正を見抜くための十分な数の公務員を確保できていない」と指摘した。 さらに別の政府関係者も、「最近、役人の数が足りず、大変な現場が増えている印象。これにより世の中に悪影響が生じているとしたら良くない」と話し、公務員全体の人手不足が与える様々な影響に懸念を示した。
■競争激化の自動車市場…今後も世界で“日本車が勝つ”ために
相次ぐ“自動車不正”が突き付けた、2つの《課題》。豊田会長は、「トヨタは完璧な会社ではない。間違いがあったときに立ち止まり直していく」と強調したが、大前提として、法律から逸脱した行為は、どんな理由であろうと、処罰の対象である。 日本車はこれまで、「安全で安心」だとして、その「技術力」が高く評価されてきた。 既に、EV(=電気自動車)開発などで国際的な競争が激しさを増している中、今後も「安全な技術力」で世界に勝ち続けるためには、今回の問題をきっかけに、不正を生じさせないための認証制度はどのような仕組みであるべきか、さらには認証に関する専門的知識を持つ人材をどのように確保していくかなどの議論が求められる。