シーザーのカッコ良さに感銘『猿の惑星:新世紀(ライジング)』/映画評
正直、これまで敬遠していたが、縁あって試写会を訪れることになった。「猿が主人公ねぇ…」と、幕が上がるまで、懐疑的な気持ちだった。動物の中でも決して好きな部類ではない猿。しかし、エンドロールが始まる頃には、満足感で溢れていた。猿の主人公も悪くないーー。シーザーのカッコ良さは、他のヒーローにも引けを取らない。そう確信できた。 『猿の惑星:新世紀(ライジング)』予告編 それもそのはずだろう。オリジナルの『猿の惑星』が映像化されたのは1968年。今から半世紀近く前に、さかのぼる。アーサー・P・ジェイコブスによって5作品が製作され、2001年にリ・イマジネーション作品として『PLANET OF THE APES/猿の惑星』が公開。そして、前作の『猿の惑星: 創世記』(2011年)と今回の『猿の惑星: 新世記』。魅力的な作品だからこそ、時代が変わり、製作者が変わっても、愛され続けるのだろう。 『新世紀』は、前作『創世記』の10年後の世界を描いた作品。人類の大半を滅ぼしたウィルスの流行から10年。主人公の猿のリーダー、シーザーと猿たちは自分たちの王国を築いていた。しかし、生存していた人類の一団と接触したことで平和が乱され、混乱していく。
シーザーには、男らしさ、勇敢さ、優しさなど、学ぶべきリーダーの気質のすべてが兼ね備えられている。鑑賞前に「たかが猿」と考えていたが、観賞後は「カッコ良かった」と、素直にシーザーのことを好きになっていた。人を主人公に描いた作品と同じように、家族や仲間への愛情、リーダーとして取るべき決断など、ピュアに描かれている。 実は、フルに鑑賞したのは、『猿の惑星』がシリーズ化され、多くの作品が世に出ている中、初めての経験だった。このシリーズの予習が足らなかったことも、『猿の惑星』に興味を持てなかった理由の1つだったが、心配は不要だった。シーザーのカッコ良さ、しっかりとしたストーリー。この作品で初めて『猿の惑星』を知った人でも十分に楽しめる作品になっている。 ■公開情報 『猿の惑星:新世紀(ライジング)』 配給:20世紀フォックス映画 配給 (C)2014 Twentieth Century Fox 9月19日(金)全国ロードショー