元ミュージシャンの職員が制作した土木局PRソングがネットで話題
名古屋市の広報職員が作ったPR曲が話題を呼んでいる。道路や公園などの補修業務を担当する緑政土木局の広報担当職員・和田勉さんは、音声合成ソフト「ボーカロイド」を使い、局の活動を宣伝するPR曲を作成。twitterなどを通じて拡散され、「まさかのボカロ」「キャンペーンソングなのに(楽曲の)クオリティが高い」と、ネット層を中心に評価を集めている。 ■PR下手の土木業界。その活路を見出す 公開された曲のタイトルは、『ぼくどりょくん!』。同局のイメージキャラクター「どりょくん」にちなんだものだ。同曲を手掛けた和田さんは、「(曲を通じて)普段は地味な緑政土木局の存在を知ってもらいたい」と制作の意図を話す。道路や川、公園など、市民生活と密接に関わる業務を担当していながら、緑政土木局の存在は認知度が低い。この“PR不足”という問題は、行政を含む土木業界全体の課題。国土交通省は広報能力強化のため「広報戦略室」を設置するなど、ここ数年で土木業界全体がPR活動に力を入れている。 名古屋市の緑政土木局もPR活動として、これまで様々な試みを実施。その中で、和田さんは独自に『ぼくどりょくん!』を制作し、公開。“ただのキャンペーンソング”とは一線を画する出来栄えに話題が集まり、公開後すぐ新聞などでも取り上げられた。 ■制作者は元ミュージシャン!?音ヲタ顔負けのクオリティ 『ぼくどりょくん!』の特徴は、一度聴くと耳に残る気持ち良いフレーズ。きゃりーぱみゅぱみゅを彷彿とさせるダンサブルな曲調に合わせ、「どりょくん♪ぼくどりょくん♪」という言葉が、頭の中でループする。それに続いて「黄色いパトカーで今日も行く」や「嵐の夜には緊急配備さ」など、緑政土木局の仕事をPRする歌詞が綴られていくのも面白い。楽曲を紐解いても、これまでの“役所のPRソング”では通常有り得ない楽曲クオリティ。独自の音楽理論が盛り込まれた曲が生み出せたのは、和田さんの経歴にある。 和田さんは、名古屋大学在学中の1999年、ロックバンド「ステレオファブリケーションオブユース」を結成。大手レコード会社からアルバムを発表するなど、プロのミュージシャンとして活動していた。しかし、2007年にバンドを脱退、翌年には市役所の職員として働くことに。「(当時は)音楽で食べていくことを追いかけていたが、人生の幅を広げるために脱退を決意した」。 「全力で活動してきた」と過去を振り返る和田さんは、辞めたことに未練は全く無いと話す。今までとは違う分野で、元ミュージシャンとしての自分の特性を活かしたいという野心もあった。名古屋市の職員へと転職した和田さんは、広報ブログの立ち上げ・運営、土木事務所を紹介するショートムービー作成などの業務を経て、『ぼくどりょくん!』を生み出した。 著作・制作 名古屋市