上京する際、親がタンス預金から「500万円」渡してくれました。「これなら税金はかからないから」と言っていましたが、本当に大丈夫なのでしょうか?
「子どもの人生の転機に渡せるように」と、お金を貯めている親は多いのではないでしょうか。 本記事では、コツコツとタンス預金として貯めてきた500万円を、上京する機会に子どもへ渡したケースを考えてみたいと思います。親は「タンス預金だから贈与税も相続税も関係ない」と思っているようですが、実際のところどうなのでしょうか。 ▼子ども名義の口座に「月3万円」ずつ入金してるけど、将来口座を渡すときに「贈与税」はかかるの? 非課税にすることは可能?
「これなら贈与税も相続税も関係ないから」は間違い
結論になりますが、タンス預金は贈与税や相続税に関係します。タンス預金だからどうこうという話ではなく、銀行預金を渡すのと同様の取り扱いになるので注意しましょう。では、どう関係するのかについて解説していきます。 ◆500万円を渡した年に贈与税がかかる 本記事の場合、上京するときにタンス預金500万円を手渡しているので、上京した年の翌年2月1日から3月15日までに子どもは贈与税の申告をしなければなりません。 この場合の贈与税額は以下のとおりです(子どもは18歳以上とします)。 ・(500万円-110万円)×15%-10万円=48万5000円 子どもは500万円をもらっても、その約10分の1は納税することになります。 ◆3年以内に親が死亡すれば相続税がかかる 相続税には「生前贈与加算」という制度があり、贈与者(本記事の場合には親)の死亡前3年以内に行われた贈与については相続財産に含めなければなりません。つまり、親が500万円の贈与をしてから3年以内に死亡した場合には、親の相続税の計算に500万円を含めます。 ちなみに、500万円に対してすでに支払っている贈与税については相続税から差し引かれるので安心してください。決して二重課税になるわけではありません。 なお、この生前贈与加算は2024年1月1日に改正され、死亡前3年以内が7年以内に延長されました。経過措置があるのですぐに7年にはなりませんが、死亡タイミングによっては7年間さかのぼられることを知っておきましょう。