「若い頃は言わなかったよね…」60~70代で“見た目の若々しさ”を自慢する人はそれ自体が老いの証拠? わかったうえで勘違いして自分を奮い立たせる人たち
自慢話こそ老いの証拠……じゃあ、私はどうよ!?
その数日後。今度は、5才年上のN美さんに夜の食事の約束をキャンセルしたいとメールしたことから始まったの。 「低気圧のせいだと思う。体が起き上がらないから今夜の約束は日延べして」とメールすると、「いいけど、そんなに病弱?」ときた。「麻雀に狂っていた20年間、かなりの無茶をしたからそのツケだね」と彼女も知っている事実を書くと、「年とったら体が資本よ。私なんか毎朝、1時間はウオーキングしているよ。それで昨夜は友達を5人集めて自宅ディナーの会。作った料理はこれ」とバーッと料理写真を8枚送ってきた。 C子はスリムな体が、N美は元気な体が誇りらしい。だけど、2人とも本当に若かった頃はあえてそんなこと言わなかったよね。てことは、そうした自慢話こそ老いの証拠……そう思って溜飲を下げたものの、じゃあ、私はどうよ!?と思うわけ。 ここのところ、五十肩で左腕は肩くらいまでしか上がらない。リュックを背負ったり洋服を着脱するときに、ガチッと何かに押さえつけられるように痛いったらない。夜中に目が覚めて眠れない日も多い。ちょっと体調を崩すと復活するのに数日かかる。階段を上ればすぐに息切れするし、家を出るときに必ず何か忘れ物をする。思えばみんな、親世代がため息交じりにグチっていた老化現象だよね。 それを人には「みんなそうよ。行くところはいっしょよ」と聞いたふうなことを言う私。 なのによ。先日からYouTubeで取り憑かれている番組があるの。それは西洋のお遍路、スペインの巡礼の旅なのよ。約800kmを1か月かけて歩く旅なんだけど、どうにかして行けないか、なんてことを考え出したら止まらないんだわ。いやいや、それはいくらなんでも無茶だ。原チャでソロキャンプにしようと自分に言い聞かせたり、待てよ待てよ、まずは四国でお遍路か?──そんなことを寝るまでタブレット片手に繰り返しているって、どう考えても現実逃避だよね。 実年齢はともかく、いつまでも私は若い。見た目や体調はイマイチでも、気は若い。他人を見ればそれは大きな勘違いだとわかるけど、そんな自分も、他人から見たら勘違い女だとは思わないんだよね。いや、わかった上であえて勘違いをして自分を奮い立たせているのか。 それからもうひとつ。誰が言ってたか忘れたけど、「できそう」なことと「できる」ことの差が激しくなるのも老人の特徴なんだとか。私もそうとうヤバくね? 【プロフィール】 「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。 ※女性セブン2024年11月14日号