「本番で出るミスを克服する方法」こそ、プロに習うべき【謎キャラコーチ『わきゅう』の気になる話♯62】
一昨年の全米女子アマを制し、23年12月のプロテストで合格した馬場咲希プロを、中学1年から指導しているのがプロコーチの坂詰和久(さかづめかずひさ)、通称『わきゅう』だ。坂詰コーチと20年以上の付き合いがあるベテラン編集者Oが、謎キャラコーチの気になる話を聞き出す。今回は「上達するためにやるべきこと」がテーマだ。
O編 ゴルフって、ちゃんと準備をしていても、必ず結果が出るとは限らないじゃない? たとえば、教えている選手が試合で予選落ちしたとき、わきゅうはどんなアドバイスをするの? 坂詰 そうですねぇ……。選手は試合で叩くと、どうしても叩いたことに意識がいきやすいわけです。たとえば、「あれだけやってきたのに、なんであんなミスが出ちゃうんだろう」とか、「あのパットが入っていれば予選を通ったのに」なんてことばかりを考えちゃう。 でも、叩くことは誰でもあるし、終わったことはどうにもならないですからね。さっさと忘れちゃったほうがいいんです。悪いイメージを引きずっているとミスが出やすいし、スコアも伸びないし。だから、なるべく次の試合に意識を向けるようにしてますね。 O編 次の試合までに何をすべきかとか、次の試合のコースはどう攻めるとか、そういうこと? 坂詰 そうですね。とにかく、次だよ、次って。 O編 スコアがすごく悪かったときとかは? 坂詰 逆に、そういうときのほうが、悔しさが残らないからいいんですよ。気分転換しやすいというか、次の試合に気持ちを持っていきやすいので、あまり心配はしないです。 O編 そうなの? 坂詰 たとえば、髙木(優奈)さんも、Vポイント×ENEOSで、派手に叩いて予選落ちしたんですけど、そんなに心配はしなかったんです。ちょっと疲れ ているだけで、やるべきことはやっていたようなので。 O編 やるべきことをやっているっていうのは? 坂詰 オフシーズンに取り組んできたことを、試合のなかでやり切ろうとしていたということです。個人情報なので詳しくは言えませんが。 O編 なるほど。じゃあ、髙木プロのことじゃなくていいから、具体的な例を挙げて教えてよ。 坂詰 たとえば、オフシーズンに、下半身をしっかり使うことをテーマにやってきたとするじゃないですか。でも、ショットが曲がったりすると、どうしても手先でアジャストしやすくなるわけです。 O編 プロの場合、それでどうにかなっちゃったりするよね。 坂詰 でも、それをやっちゃうと、後々尾を引いてしまうわけです。 O編 やるべきことをやっていたら、次につながるけれど、それができていないと、せっかくやってきたことが台無しになっちゃうんだね。 坂詰 ええ。同じ予選落ちをしたとしても、やるべきことをやって叩いたのか、アジャストしてごまかして叩いたのかの差は、とても大きいんですよ。 O編 それって、アマチュアゴルファーも同じだよね。練習でやってきたことをコースでやり切るようにしないと、なかなか上達しないでしょ? 坂詰 そうですね。コースに出ると練習場のようにはいかないと思いますが、それでも元に戻すのではなく、自分がいまテーマにしていることをやり切ろうとすることはとても大切だと思います。 O編 でも、なかなかそれができないんだよね。しっかり振り切ることをテーマに練習していても、コースに出ると体が止まったりしてさ。 坂詰 そういうミスのパターンがわかったら、続けて同じミスをしないようにするにはどうしたらいいかを考えて、そのための練習をするんですよ。で、自分でわからない場合は、やっぱりプロに習うのが一番だと思います。 O編 単純にスウィングを教わるんじゃなくて、本番で出るミスを克服する方法を習うってことだね。 坂詰 ええ。トップの位置がどうだとか、手首の使い方はどうだとか、そういうことを気にする人が多いんですが、形を直してもスコアはあまりよくなりませんからね。それよりも、自分がコースで出るミスをどうしたら抑えられるかを相談して、練習法を教えてもらう。それでも上手くいかなかったら、それをまたプロにフィードバックして、次の練習のテーマをもらったり、ミスを回避するための心の持っていき方を教わったりするといいんじゃないでしょうか。 O編 心の持っていき方かぁ。わきゅうは、そういうのが上手いよね。 坂詰 いつも言いますが、ボクの根幹はプロキャディですからね。 O編 じゃあ、次回はラウンド中の心の持っていき方を詳しく聞いていくことにしようかな。 坂詰 わかりました。 PHOTO/Tadashi Anezaki ※週刊ゴルフダイジェスト2024年4月30日号「ひょっこり わきゅう。第62回」より
週刊ゴルフダイジェスト
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