銘菓「せめんだる」復活 14日にAスクエアで先行販売【山陽小野田】
山陽小野田市の代表的な銘菓として愛された「せめんだる」が、2年ぶりに復活する。あす14日に中央町2丁目の複合施設「Aスクエア」で開かれる同施設のオープンフェスタで先行販売され、懐かしい味が市民を魅了する。 「せめんだる」は、1881(明治14)年に日本初の民間セメント製造会社(小野田セメントの前身)が設立されるなど、基幹産業として市の発展に寄与したセメントにあやかり、市内の和菓子店が売り出したもなか。 当初は「たる最中」の名前だったが、1950年代に「せめんだる」と改称し商標登録された。最大の特徴は、昭和初期までセメントをたるに入れて出荷していたことにちなみ、あんをたるの形をした皮(容器)に詰めて売り出したこと。 古里の味として、市の手土産として長く重宝されたが、コロナ禍などによる業績不振で和菓子店が2年前に閉店し姿を消した。 直後から「長く親しんだあの味、あの菓子を復活できないか」という声が上がり、小野田商工会議所が昨年3月に「せめんだる」の商標を取得し復活を呼び掛けていた。 手を挙げたのが社会福祉法人健仁会が運営する食パン専門店「安都佐(あずさ)」(鴨の庄)。開発リーダーの越智和恵さんは「復活を望む声があちこちから聞かれ、取り組んでみることになった」と振り返る。 昨秋から本格的に製造に着手。〝あんこの神様〟として全国の店を指導するあん職人、小幡寿康さんの指導を仰いで、小豆の選別、おいしいあんの炊き方など一連の工程を習得した。 皮は、以前の和菓子店が外注していた会社に残っていた石こうの型から新しく金型を作ってもらって入荷した。それから何度も試作を重ね、商品化にこぎつけた。 越智さんは「皮は以前のまま。あんはレシピが無いので小幡さんのアドバイスを受け、北海道産小豆を使って上品な味に仕上げた。愛される銘菓作りに誇りと責任を感じている」と話した。 小野田セメントのセメント商品に印刷された商標「ドラゴンマーク」もあしらった新しいパッケージデザインで復活した「せめんだる」は、同フェスタでの先行販売(限定300個)に続き、19日から安都佐で1箱(10個入り)1350円(税込み)で販売する。 小野田商議所の堀川順生専務理事は「和菓子に限らず、いろんな形の商品で当所が商標登録している〝せめんだる〟を使い、市をPRしてほしい」と期待する。