「ヘヴィメタルのお醤油やさん」にはキャンプに最適な〝暗黒ノ醤油〟が存在する!? 産地直〝食〟なソトごはん vol.06 矢田醤油店の暗黒ノ醤油
キャンプへの持ち込みにもぴったりなサイズ感
矢田醤油店では、「金山寺みそ」という国産の原料にこだわったお味噌も売られています。キュウリなどの生野菜やクリームチーズなどと合わせれば、絶品のおつまみになると人気で、全国から注文が入るのだとか。 農業の盛んな安来市は地元の野菜もおいしいので、セットで買えばお酒がどんどん進みます。 ちなみに金山寺みそは、一般的なみそ汁に使うものとは違い、金山寺諸味を野菜と一緒に熟成させた味噌。調味料ではなく酒の肴としてそのまま食べることのできる「なめ味噌」の一種なので、そのまま食べてもとってもおいしいんです。 暗黒の醤油はキャンプ場でも使いやすい100mlのものと、家庭用にぴったりの500mlのものがあります。外で使うのであれば、卵かけご飯にかけてみたり、冷奴にかけてお酒のつまみをつくるのもおすすめですよ。
なぜお醤油屋さんなのに「ヘヴィメタル」!?
ところで、この「暗黒ノ醤油」。名前もそうですが、パッケージがメタル風になっている気がします。 ふと店内を見渡してみると、自社で製造している醤油や味噌のほかに、いかにもメタルなCDやTシャツなどのグッズがたくさん。というか、醤油よりメタルグッズの方が多いですね……。老舗の醤油店というのは間違いで、ここは趣味全開のライブハウスなんじゃないかとさえ思えてきます。 じつはこの安来市にある「矢田醤油店」は、音楽ジャンル「メタル」としょうゆを掛け合わせた、前代未聞のお醤油やさん。 ヘヴィメタルと、お醤油です。 ……繋がりがさっぱり見えませんが、なぜこのような組み合わせになっているのでしょうか。 じつは現・店主である矢田大典さんは、もともとは東京都出身。結婚を機に島根県安来市に移住し、奥さんの実家である矢田醤油店の3代目店主となりました。 矢田醤油店のある島根県安来市は、鉄づくりが盛んに行われ、現在でもたたら製鉄で有名な金属の町。そこで矢田さんは、自分の大好きなヘヴィ「メタル」と金属の「メタル」とをかけて地域を盛り上げられないかと考え、醤油屋でまさかのヘヴィメタル講座を始めました。 それがきっかけでメタルパッケージの醤油を売り出すことになり、徐々にメタルグッズが店内を侵食していったのだといいます。 ちなみに店内に並べられたグッズは一見、醤油となんの関係もないものにも見えますが、じつはそうでもありません。 例えば、店内で販売されているメタルTシャツは、よくよく見ると……樽で醤油を仕込んでいる醤油職人ではありませんか!! さらに、白いTシャツの裏面には「kouji」「moromi」「solt」といった文字が。麹……諸味……そう、なんとこれ、醤油の作り方になっているんです! 「自分がこれを着てライブハウスへ遊びに行きたいがために、メタル好きのデザイナーさんに作ってもらいました」と矢田さん。 ライブ中に後ろに立ってる人がバックプリントを見てたら、いつの間にか醤油の作り方が分かっている、という謎の面白Tシャツでした。 いろいろとつっこみどころ満載の店内ですが、ただキャッチーなだけでなく、しっかりと味で勝負しているのが矢田醤油店。お話を伺っている最中にも、お客さんが訪れては、次から次へとお醤油や味噌を買ってゆきました。 斬新なデザインでありながら、味もしっかりこだわって作られている矢田醤油店の本格的なお醤油。これを使えば、焼きおにぎりや焼き魚などのごはんが一層おいしくなること間違いなしです。 島根のキャンプ場に立ち寄った際は、ヘヴィメタルを聞きながら、こだわりのお醤油でキャンプ飯を楽しんでみてはいかがでしょうか。
村上詩織(風来堂)