二宮和也、自身最大の“シャンス・サンプル(二者択一)”を明かす「気付いたら逆転して今に至る」<ブラックペアン>
二宮和也主演の日曜劇場「ブラックペアン シーズン2」(毎週日曜夜9:00-9:54、TBS系※初回は夜9:00-10:19)が7月7日(日)よりスタートする。同作は、2018年4月期に二宮主演で放送された日曜劇場「ブラックペアン」の続編。海堂尊の小説「ブレイズメス1990」「スリジエセンター1991」(講談社文庫)を原作に、シーズン1から6年後の物語を描く。 【写真】物憂げな横顔が美しい二宮和也 同作で二宮が演じるのは、6年前に東城大学医学部付属病院を去った外科医・渡海征司郎とうり二つの謎の男。また、シーズン1に出演していたなじみのメンバー、外科医・世良雅志役の竹内涼真、看護師・花房美和役の葵わかな、外科医・高階権太役の小泉孝太郎、病院長・佐伯清剛役の内野聖陽らの続投が決定している。 このたび、WEBザテレビジョンでは、人も金をももてあそぶ世界的天才外科医の天城雪彦を演じる二宮にインタビューを実施。撮影が始まってからの手応えや、自身最大の二者択一エピソードなどを聞いた。 ■視聴者を思い決断「できる限り同じメンバーで」 ――改めて、続編が決まった際の率直なお気持ちをお聞かせください。 6年もたっていたのかという驚きと同時に、6年もたっていたら続編はもうやらないのかなと思ってもいたので、シンプルにびっくりしました。せっかくまた「ブラックペアン」を背負っていいよと言われているのであれば、できる限り同じメンバーでやることが見ている人たちにとってもうれしいのではないかなと思っていたので、「みんなが集まれるタイミングであれば、ぜひ参加したいです」というお話をしました。 ――新たな役柄を演じることを聞いたときはどう思いましたか? 僕自身はすごく不思議な感覚ではあったのですが、いろいろなことができるのかなというふうに捉えました。最初は別人を演じることを言うか言わないかという議論もあったのですが、知った上で作品を楽しんでもらった方が早いだろうということもあったし、妙な驚きは必要ないのではないかと考えました。最後まで見ていただけるといろいろな展開があるので、主人公が違うキャラクターになった意味や意図を分かっていただけると思います。 ――前作では“オペ室の悪魔”渡海を演じ、今作では“人も金をももてあそぶ悪魔”天城を演じますが、キャラクターの違いはどのように考えていますか?また、演じ分けはどのようにされていますか? 人それぞれだとは思うのですが、僕なんかは“渡海先生は実はいい人だったんだな”と思っていたくらいで、天城先生の方がもうちょっと自由奔放にしているのではないかなと思います。 ビジュアルも違いますし、全然違うやり方で演じています。特段悪いところをデフォルメして抽出しているわけではないのですが、こう動いてもらいたいというそのTPOに合ったムーブをあえてしないところがあったり、基本的に渡海先生よりももうちょっと能動的に社会とも関わっているような感じですね。 天城先生を演じるにあたっては、その場に置かれたときにどれだけ異物化できるかというのが一つのテーマでもあるので、あまり場になじんでいなかったり場を乱したりするのですが、オペのときだけはリーダーになっていくという様が面白いと思っていたので、オペをしているときとしていないときの差は意識しているところかもしれないです。 ■「シーズンを通してきた人たちの感覚はすごく大事」 ――撮影が始まってから現時点で感じている手応えや、チームワークをお聞かせください。 チームワークはいいと思います。出ている演者さんが前作とほぼほぼ一緒なので、現場もやりやすいですね。やはり前作を経て今作に入ってきている演者さんたちは、譲れるものもあれば譲れないものもあるので、現場では演者さんの意見が重要視されている印象があります。 チーム編成で言うと、前作に関わっているスタッフが助監督に1人いるぐらいで、全く違うチームで作っているので、シーズンを通してきた人たちの感覚はすごく大事で、その分いい形でものが作れているのではないかなと思いますね。 ――撮影中のハプニングや、大変だったシーンはありますか? オペシーンが大変ですね。前作では、場がピンチになってから渡海先生が出てきてパッと手術して帰っていくので、僕はどちらかというとそこまで大変に感じていなかったのですが、孝太郎くんとか涼真とかは「しんどすぎる」みたいな話をしていて、そこの温度感がすごくあったんです。でも、今作では、天城先生は最初から最後までずっとオペ室にいるので、「このことを言っていたんだな」と実感しています。 ■6年たって感じた変化「共演者の方とその日撮るシーンの話をするように…」 ――前作からのなじみのキャラクターが多く登場しますが、中でも一番変わった(成長した)と思うキャラクターは誰ですか? そもそも、「ブラックペアン」シリーズの原作の主人公でもある世良くんが成長していくというお話でもあるので、物語上も6年たっている設定で、世良くんが研修医から外科医になっていろいろな担当を持ったり、時に指導したり、後輩を助けたりというような面が見られるのはすごく印象的でした。なので、世良くんが一番成長しているのではないかなというふうに思いますね。 ――6年前と現在で、ご自身の役者としての姿勢に変化はありますか? 僕が一番不思議というか面白いなと思った感覚は、これまでにいろいろな作品に出させてもらい、いろいろな経験をさせていただいてきたのですが、「ブラックペアン」の現場ではあの頃の感じが戻ってくるというか、6年前と同じやり方をしているんです。 それを許していただけるというのが一番大きいのですが、僕はやっぱり現場の空気を見てその場で出てくるもので勝負したいタイプなので、それをよしとしてやらせてくれるスタッフさんと、それに対応してくれる共演者の方のおかげで、“「ブラックペアン」の現場に戻ってきたな”という感じがします。 変化としては、共演者の方とその日撮るシーンの話をするようになりました。前室にいるときや待ち時間に、「ここをこうしたいんだけど大丈夫?」「じゃあ僕はこうします」「じゃあ私はこうやります」というのをやり取りできるようになったというのは大きいところかもしれないですね。 僕もそうですが、みんなも6年たっているので本当にいろいろな現場を経験していて、そういう人たちが「ブラックペアン」のやり方で今また現場をつくっているというのが、僕はやりやすくて好きです。 ■キム・ムジュンと自身を重ね合わせ… ――日本ドラマ初出演となるキム・ムジュンさんの印象はいかがですか? すごく頑張り屋だなと思います。僕も何度か経験はあるので、異国でいつも通りに仕事をするということがいかに大変かというのも理解できますし、かつムジュンの場合はいつもの制作スタッフとも違うし、違う言語を喋らなくてはいけないので、それをやっているのはすごいことだなと思いますね。 術名や臓器の名前、病気の名前など難しいワードも同時に覚えているし、僕らのせりふもちゃんと頭に入れているので、本当に時間はいくらあっても足らないのだろうなと思うぐらい頑張ってくれています。 ――ご自身が海外にいるときと重ね合わせるところもありましたか? そうですね。その大変はすごく分かります。単純に自分の家に帰れないわけじゃないですか。それがストレスにならないように、日本の役者さん以上にケアしていかなくてはいけない部分は絶対にあると思います。 ムジュンに「ここに来て楽しかったな」「日本でこのチームとお芝居ができてよかったな」と思って帰ってもらうのが僕らの目標になってくるので、お芝居だけではなく、いろいろな経験をさせてあげられたらなということを話していました。 ■現地の協力体制に感謝「本当に行ったかいがあった」 ――オーストラリアでのロケもありましたが、現地での印象的な出来事があれば教えてください。 現地の方々にすごく協力していただいて、いろいろな場所で撮ることができ、撮影にも参加していただき、とても好意的にやっていただけたなという思いがあります。カジノなど普段はなかなか入れないところでも撮影できましたし、本当に行ったかいがあったのではないかなと思います。 ブリスベンの空港も使わせていただきました。普段だったらセットをいかに空港に寄せるかというところでの勝負だったりもするのですが、そのものを貸していただけて本当に良かったなと思います。 ――撮影以外の時間はどのように過ごされましたか? 僕はみんなより前に入って特番の「二宮孝太郎」のロケをしていたので、オーストラリアのいろいろな所に飛んで、動物園や人の家に訪問したりして、旅行気分で過ごすことができました。 ただ、第1話はみんなが天城先生を探しに来ている話なので、みんなは大変そうでした(笑)。僕はフルタイムで撮影に入っているわけではないので、残っているメンバーとご飯に行ったりもできたのですが、探している側はカツカツでやっていましたね(笑)。 ――劇中では、シャンス・サンプル(二者択一)を行うシーンがありますが、二宮さんにとって一番大きな二者択一のエピソードといえばなんでしょうか。 それで言うと、やはり僕はあれですね。「1999年ワールドカップバレーボール」のイメージキャラクターと「3年B組金八先生 第5シリーズ」への出演のどちらかという選択。当時、僕は「金八先生」と言っていて、風間俊介は「バレーボールをやりたい」と言っていて、気付いたらそれが逆転して今に至るのですが、その二択がやっぱり一番大きかったのではないですかね(笑)。 ――最後に、視聴者へのメッセージをお願いします。 6年ぶりにシーズン2として「ブラックペアン」が戻ってきます。「ブラックペアン」の持つ力もそうですが、このTBSの日曜劇場という枠の力の強さ、役者の幅広さといったところからエンターテインメントが始まっていますので、日曜劇場はやはりすごいんだなと改めて思ってもらえるように、日曜劇場のファンの方々にも届けばいいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。