中国の金投資ブームでETFが乱高下、一時売買停止
(ブルームバーグ): 金関連企業に投資する上場投資信託(ETF)が中国で最近、熱狂的な取引対象となっており、中国経済の苦境に強いと見られる市場の一角に投資家が殺到している。
中国の華夏基金管理は8日の発表資料で、投資家の利益を守るため、「チャイナAMC CSI SH-SZ-HK金産業株ETF」の取引を現地時間8日午前10時30分まで停止したと発表した。取引停止は3日以来2度目。
ブルームバーグの集計データによると、同ETFの組み入れ資産に対するプレミアムは4月3日時点で30%強に拡大し、過去最高を記録した。同ETFの価格は過去4営業日で40%余り上昇したが、8日の取引再開後には10%下落した。
同ETFを巡る熱狂は、不動産問題の深刻化や不安定な株価、預金金利の低下で選択肢が減少する中国の投資家が利回りを求めて市場の好調な部分に群がる様子を映す新たな事例だ。ここ数週間で記録的な上昇を演じた金相場に連動する商品への投資熱は、苦境にある経済とは比較的縁遠いと見られるセクターに資金を蓄えたい投資家の願望も浮き彫りにする。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、レベッカ・シン氏は、「金は史上最高値圏で取引されており、金ETFの需要は過去1週間で急増し、全世界で6億ドル(約910億円)近くが金ETFに純流入している」と指摘。「投資家がコモディティーや海外ETFで保有資産の分散を図っており、中国本土での需要は持続する可能性がある」との見方を示した。
長い間、中国の小口投資家の間で人気のあった金は、米国の利下げ期待や地政学的緊張の高まりを受け、ここ数週間で記録的な上昇を続けている。中国人民銀行(中央銀行)も大口の買い手で、3月には1年5カ月連続で準備資産として金を購入した。
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原題:China’s Latest Investment Frenzy Sparks Wild Swings in Gold ETF(抜粋)