【社説】尋常でないIMFの警告、規制改革に積極的に取り組むべき時=韓国
国際通貨基金(IMF)が韓国の今年の成長率は従来の見通しよりも0.3%ポイント低くした2.2%、来年の成長率は従来より0.2%ポイント下方調整された2%と発表した。韓国政府との年次協議を終えたIMF韓国ミッション団は昨日「展望を巡る不確実性が高い状況で、ダウンサイドリスクが大きいほう」とコメントした。トランプ第2期政府スタートなどによる対外不確実性のために来年の韓国成長率が潜在成長率を下回る1%台に落ちる危険を警告したのだ。 IMFは通貨政策の漸進的な正常化と長期的な支出圧力への対応余力を確保するために、さらに積極的な健全財政基調を注文した。利下げのスピードは落として、野党が主張する景気補強のための財政の積極的役割は国の蔵の事情を見ながらやれということだ。目の前の景気浮揚のための財政・通貨政策に大きな期待をかけるなという助言でもある。 利下げで家計の負債がこれ以上増えないように、必要なら追加的な健全性措置を考慮することができる部分もあった。7-9月期末の家計負債は1900兆ウォン(約210兆円)を超えて歴代最大を記録した。IMFの指摘のように、市場の状況を綿密に点検し、総負債元利金償還比率(DSR)の範囲拡大など必要な措置を準備しなければならない。 IMFは国内外の環境変化に回復力をもって対応するためには「強力な経済政策が必要だ」とし、政策優先順位として、革新強化、サプライチェーンの多角化、サービス輸出促進などに言及した。だが、昨日報じられた国家科学技術諮問会議の報告書によると、理工系修士・博士人材が毎年4万人不足しているという。世界が人工知能(AI)人材の確保に総力を挙げているが、AI分野の専攻者は国内で排出される理工系博士の6%だけという。IMFは革新強化が最優先としたが、韓国は革新研究開発(R&D)の最前線が崩壊している。このような状態でも韓国経済の競争力は維持していくことはできるのだろうか。 持続可能な成長のために、中長期経済改革が重要だという指摘はIMFの常連メニューだ。答えは明らかに分かっているが、これといった進展のない手垢のついた課題だ。現在のように直ちに使えるマクロ政策手段がない時ほど、規制改革がさらに切実だ。規制は「見えない税金」だ。規制をなくすこと自体が減税政策であり、景気浮揚政策だ。 トランプ氏が政府効率化省の首長に起用したイーロン・マスク氏は以前、「(小人の国に行った)ガリバーのように数千本の小さな綱に縛られて横になったまま、規制一つにつき一度ずつわれわれは自由を失っている」と書いた。身動きが取れなくなるような規制に身震いしていたマスク氏の米国は規制との戦争に出た。自由をそこまで強調してきた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府で規制改革がどれくらい進展するのか、多くの人々が見守っている。