これで米大統領選と「その後」がさらに理解できる...「アメリカ」をもっと深く知るための本
「現代アメリカ」を理解する
『なぜ中間層は没落したのか』 著者:ピーター・テミン 翻訳:栗林寛幸 解説:猪木武徳 出版社:慶應義塾大学出版会 格差が広がって「中間層」が消えつつある──。経済が減速する日本ではそのような声が大きくなってきていますが、その比でないのがアメリカです。 本書によると、アメリカでは1970年から2014年の44年間で、中間層が30%も減少したそうです。なぜそうなってしまったのでしょうか? 本書ではアメリカにおけるさまざまな「分断」を取り上げ、その現状と理由を歴史的背景などから読み解きます。 ここに書かれていることは、対岸の火事とは思えないはず。日本の未来を占ううえでも読んでおきたい一冊です。 『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』 著者:渡瀬裕哉 出版社:すばる舎 選挙前になると、ニュースなどで「共和党=赤」「民主党=青」と州別に色づけされたアメリカ地図を目にしませんか? こうして「わかりやすく」色分けすることで市民の分断を促し、本来持っている多様なアイデンティティを剥ぎ取っているのだと、本書は主張します。 成熟した民主主義国家における「アイデンティティの分断」をテーマにした一冊。安易に「ラベリング」することの危険性を指摘し、分断された世界が向かう先についても警鐘を鳴らしています。 『グローバル資本主義VSアメリカ人』 著者:篠原匡 出版社:日経BP 大統領選挙のたびに争点となるのが「移民政策」。特にメキシコ国境から流れ込む膨大な数の不法移民は社会問題にもなっており、トランプ政権時代には「国境の壁」が建設されました。(後にバイデン政権が中止) 本書は、日経ビジネス副編集長が「国境の町」に自ら出向き、「アメリカのリアルな姿」に迫った渾身のルポ。そこに暮らす人たちの声を拾い、彼らの暮らしぶりを丹念にまとめ上げています。 大富豪や成功した起業家ばかりが注目されがちですが、それはほんの一面に過ぎません。アメリカという国を知るためには、もう一つの面も知る必要があると思わされる一冊です。 『超一極集中社会アメリカの暴走』 著者:小林由美 出版社:新潮社 「0.1%の超富裕層が世のすべての富を奪っていく社会」。背筋が凍るような言説ですが、それが現在のアメリカだと本書は説きます。 大手IT企業が次々とイノベーションを起こし、巨万の富を蓄えていく一方で、工場閉鎖により失業に追い込まれる人は少なくありません。また昨今は、高額の学費を払うため多額の借金をして大学に入学したものの、その返済が追いつかない若者たちの「学生ローン問題」もクローズアップされています。 本書は2017年の出版ですが、一極集中はさらに広がっているようにも見えます。大統領候補者たちはこの問題をどう解決するつもりなのか。彼らの演説に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。 『大分断』 著者:タイラー・コーエン 翻訳:池村千秋 解説:渡辺靖 出版社:NTT出版 「がんばれば誰もが成功と富を手にできる」と信じられていた「アメリカンドリーム」も、いまや空前の灯。ちょっとやそっと努力しても、成功することは難しい──。ならば、「現状に満足して生きよう」という「現状満足階級」の出現を解説したのが、本書『大分断』です。 日本でも若い世代を中心に「ガツガツしないで、今の生活を維持できればいい」という傾向は見られますが、本書では「現状満足階級の平和と平穏は長く続かない」と、厳しい見解を示します。 「活力が失われた社会」はどこへ行きつくのか。著者の予測にひやっとするのは、筆者だけではないはずです。 ■「アメリカ」という国の成り立ち 『アメリカ経済政策入門』 著者:スティーヴン・S・コーエン、J・ブラッドフォード・デロング 翻訳:上原裕美子 出版社:みすず書房 アメリカのリーダーたちは、これまでどのような経済政策を行い、「大国」へ押し上げてきたのか? 本書では、過去の大統領や政治リーダーたちが行ってきた経済政策を分析し、それぞれがどんな効果をもたらしたかを検証します。 南北戦争を率いたリンカーンや、「ニューディール政策」のフランクリン・ルーズベルト、軍事力強化により国を繁栄に導いたアイゼンハワーなど、歴史の授業で耳にする偉人たちも続々と登場。 アメリカの経済政策を縦軸に追っていくことで、見えてくるものがあるかもしれません。 『コモン・センス(COMMON SENSE)』 著者:トマス・ペイン アメリカという国の成り立ちを知るうえで、ぜひ読んでおきたいのが『コモン・センス(COMMON SENSE)』。18世紀後半、独立か、英国の植民地にとどまるかに揺れていたアメリカ市民たちの心に火をつけ、独立への機運を高めた小冊子です。 アメリカの歴史の「1ページ目」を知って、より理解を深めてみてはいかがでしょうか。 <flier編集部> 本の要約サービス「flier(フライヤー)」は、「書店に並ぶ本の数が多すぎて、何を読めば良いか分からない」「立ち読みをしたり、書評を読んだりしただけでは、どんな内容の本なのか十分につかめない」というビジネスパーソンの悩みに答え、ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。 通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されており、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。 このほか、オンライン読書コミュニティ「flier book labo」の運営など、フライヤーはビジネスパーソンの学びを応援しています。