他人にお金を使う人の幸福度が上がる脳内のカラクリ
■週に1回でもいいから、「他人のために何かをする日」をつくる 他人にお金を払う以外に、他人のためによいことをする方法論もあったりします。カリフォルニア大学のソーニャ・リュボミルスキーら[4]は、「知らない人のコインパーキングの料金を払う」「献血をする」「友人の問題を解決する」「昔お世話になった先生にお礼状を書く」など、6週間にわたって週に5回の向社会的行動――すなわち〝一日一善〞ならぬ〝一週五善〞をした被験者と、特に何もしなかった被験者を比べる研究をしています。まず、幸福度を比べた結果、〝一週五善〞をした被験者のほうが高くなっています。
これはみなさんにとっても想定内だと思うのですが、興味深いのは〝一週五善〞のこなし方です。 方法はグループの中でもさまざまでしたが、最も幸福感が高くなったのは、「1日にまとめて向社会的行動を5回した人」でした。 つまり、ハッピーアクションとして〝一週五善〞をするなら、〝週に一度、一日五善〞がベストになるわけです。 新しい経験や変化を求める脳には、日常的にするより、たまにこのようなアクションをまとめてするほうが刺激的であるためと考えられます。
とはいえ、一日一善だって、小さな幸せは得られるわけですから、やってもいいのです。むしろ、そういう小さな幸せを毎日見つけられる人生のほうが、人によってはいいのかもしれません。 みんなが一日一善を実践すれば、思いやりのある、やさしい、そして幸せな社会になるでしょう。まずは、私たちからはじめてみませんか? <参考文献> [1] Aknin, L. B., Barrington-Leigh, C. P., Dunn, E. W., Helliwell, J. F., Burns, J., Biswas-Diener, R., Kemeza, I., Nyende, P., Ashton-James, C. E., & Norton, M. I.(2013). Prosocial spending and well-being: cross-cultural evidence for a psychological universal. Journal of personality and social psychology, 104(4), 635-652.