兵庫の生活保護訴訟 2審も原告側敗訴 大阪高裁判決
生活保護費の引き下げは生存権を保障する憲法25条に反するとして、兵庫県内の受給者9人が居住自治体に減額決定の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は26日、請求を退けた1審・神戸地裁判決を支持し、受給者側の控訴を棄却した。森崎英二裁判長は「減額を決めた国の裁量権の逸脱や乱用は認められない」と判断した。 【写真】生活保護の生徒、修学旅行でクーポン配られず 全国29地裁に起こされた同種訴訟で、高裁判決は4件目。減額が違法として国に賠償を命じた名古屋高裁判決(2023年11月)以外は受給者側が敗訴している。地裁レベルでは判決26件のうち、15件は減額決定を取り消しており、司法判断が割れている。 国は13~15年、生活保護費のうち、食費や光熱費に充てる「生活扶助」の基準額を平均6・5%減額。判決は「減額に重大な過誤があり、著しく低い生活保護基準ならば違法だ」と指摘しつつ、当時の物価下落率などに基づいて改定した経緯を重視し、「受給者の生活への影響を踏まえても、減額は適法だ」と結論付けた。 判決後、受給者側は大阪市内で記者会見。原告団長の北風正二さん(86)=神戸市北区=は「物価が上がり、腹立たしい思いで闘ってきた。一日でも長く生き、最高裁に訴えたい」と話した。【土田暁彦】