箱根駅伝Stories/エースとして自覚十分の中央学大・吉田礼志 2度目の2区は「1時間6分台で行きたい」
新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。 第100回箱根駅伝・中央学大のエントリー選手16名をチェック!
2年ぶりの本戦切符に安堵
昨年の箱根駅伝予選会で敗退した後、レースのたびに存在感を高めているのが、中央学大の吉田礼志(3年)だ。今年の予選会突破だけを見据え、己を磨いてきた。2年ぶりに臨む箱根路でも逞しく成長した姿を披露する。 10月14日の箱根駅伝予選会。スタート直後から先頭集団を形成した10人以上の留学生に、ただ1人、果敢に食らいついた日本人選手がいた。それが吉田だった。 「チームとしては3位以内が目標でしたが、僕自身はトップ通過を狙っていました。そのためには1時間1分10秒ぐらいで日本人トップ、他大学の留学生と渡り合うぐらいの走りをしなければいけないなと。留学生の集団についていくことはずっと前から決めていました」 10km過ぎで集団から離れたのは、「後半の公園内に入ってからの起伏で脚に来ると思いました」から。5kmや10kmは想像していたよりやや速いペースだったが、「それほどきついとは感じなかったです」と冷静にレースを進めることができていた。 20km手前で東農大の前田和摩(1年)に逆転を許し、日本人トップとはならなかったものの、1時間1分59秒の11位でフィニッシュ。中央学大を2年ぶりに本戦へと導いた。 「(9位通過という結果に)みんなも納得はしていなかったと思いますし、悔しさもありました。でも、とりあえず箱根本戦の切符を得られたことにはホッとしました」 昨年の予選会で本戦出場を逃し、「チームとしても個人としても悔しい結果で終わってしまった」。それ以降、100回大会の予選会突破だけを見据えて、1年間を過ごしてきた。 「練習内容はそれほど変わっていませんが、普段のジョグを20~30分長く走ったり、1kmのスピードをみんなより20~30秒速くしたり、昨年より質の高いジョグはしていたと思います」 地道な努力は徐々に結果に表れていく。昨年12月に10000mで2022年の日本人学生最高となる27分58秒60をマーク。今年に入って2月の丸亀ハーフでは、「出場をやめようかなと思うぐらい1週間前の練習で調子が優れなかった」と言いながら、日本歴代9位、日本人学生歴代2位となる1時間0分31秒で走破した。3月の日本学生ハーフは、レース中に靴紐がほどけて結び直すアクシデントがあった中で、「調子が良かったので最低限の走りはできた」と2位に入っている。 6月の全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会では、熱中症で途中フラフラになりながら走る状況に。フィニッシュしたものの、レース中にトラックの内側に入ったとして失格となってしまい、チームも11年連続の伊勢路行きを逃した。だが、川崎勇二監督から「あとは箱根予選会でやるしかないぞ」と言葉をかけられ、すぐに気持ちを切り替えた吉田。8月に行われたワールドユニバーシティゲームズのハーフマラソンでは日本勢トップの4位を占めた。