憧れの人魚になりたい―かなえませんか? 名古屋に「マーメイドスイム」のスクール、優雅な舞台の裏には厳しい練習があった
講師の五十嵐麻理さんは普段の練習の重要性を強調する。「人魚というと、チャラチャラしたように見えるかもしれないけれど、想像以上にハードで、命のリスクを伴う。何の知識もなく衣装を着て水に飛び込むのは危険で、しっかりと訓練することが必要です」 マーメイドネーム「ハリー」の女性(26)=東京都=は本気で取り組むため、1年ほど前に仕事を辞めた。自主的に練習しつつ、名古屋市にも通う。「ディズニーアニメの人魚姫アリエルのようになりたくて習っている。ショー出演を目指したい」と意気込む。 3年ほど通っている名古屋市の女性(50)は子どもの頃、こいのぼりを身に付けて人魚になりきっていた。今は習い事として通っており、「フィンがあるので年齢や体力に関係なく泳げる。自分に合っている」と語る。 受講者には男性もいる。両足に1枚の大きなフィンを付けてタイムを競う「フィンスイミング」を続ける愛知県江南市の40代の男性は、練習場所を探す中で、マーメイドスイムと出会った。競技と違い、水中を立体的に泳げるのが楽しいという。「郷には入れば郷に従えと、コスチューム衣装を手作りしている」 ▽夢かなう場所に
開校当初は生徒が集まらなかったが、SNSでスクールの存在が伝わり、現在は初心者向けの体験会や、上達度合いに応じた講習会を月に数回開いている。累計250人以上が参加し、年齢は6歳から70代までと幅広い。女性が多いが、男性も増えてきた。昨年は水族館でショーも開催した。 国内にマーメイドスイムの愛好者団体はあるものの、本格的に習えるスクールは少ない。後藤さんは「やりたいと思いながらも踏み出せない人はいると思う。泳げなかった私にもできた。夢があるなら、何歳になっても挑んでほしい」と話している。