《ハイチ》ギャングが「選挙実施」要求=刑務所襲撃で首相辞任へ
中米の島国ハイチのアリエル・アンリ首相が11日夜、辞任を発表した。この決定は、同国のギャング集団による脅迫によるものであり、事態を収束させるためだったと12日付G1サイトなどが報じている。 ハイチ国内に200あるギャングの中で最も影響力のある通称「バーベキュー」(G9ファミリー)リーダー、ジミー・シェリジエは先ごろ、「もしアンリ首相が権力の座に居座り続ければ内戦になる」と脅し、米国政府も同首相に退陣を迫っていた。リーダーと同様に多くの元警察官で構成される最強の犯罪組織だ。 ギャングのリーダーや一部の人々は、アンリ氏の辞任と数十年ぶりの総選挙の実施を求めていたが、同氏はまだ選挙を行うのは安全でないと拒否していた。現在、アンリ氏は米国領であるプエルトリコ島に滞在している。 6日付G1サイト(3)によれば、国連人権高等弁務官フォルカー・ターク氏は、ハイチは何年にもわたって国家として機能できず、2016年以来選挙もなく、21年7月に殺害されたジョヴネル・モイーズ氏以来大統領も不在で、さらなる惨状に陥っている。つまりアンリ現首相は選挙で選ばれていない。 この脅迫は、ハイチ国内で相次ぐ暴力よって加速され、ギャングは首都ポルトープランスを含む国内の広範囲な地域を支配し、インフラや戦略的地点を狙った攻撃を行っている。国際航空会社では安全保障の不安からハイチへの離発着を停止する事態も発生している。 武装ギャングが刑務所を襲撃して、3500人以上の受刑者が脱走して死亡者も出たことで、2021年に元大統領が暗殺されて以来、政治人道安全保障の危機に直面している状況を更に悪化させ、3月3日には非常事態が宣言された。 ハイチの状況の悪化により、ブラジルは国際連合安全保障理事会の決議を緊急に実施し、ハイチに多国籍の安全保障支援ミッションを創設するよう要請した。 12日付G1サイトによると、ハイチ首相の辞任発表の数時間前には、ハイチが所属するカリブ共同体(Caricom)の現リーダーであるガイアナのイルファーン・アリ大統領によってすでに確認されていた。 アンリ首相は、移行評議会が設立され次第政権を離れるとし、「ハイチのすべての人々に、冷静を保ち、平和と安定ができるだけ早く戻るよう努力してほしい」と述べた。選挙を実施するために国際的な支援を受けることになる。 カリブ共同体によると、ハイチの移行評議会は、2人の観察者と7人の投票権を持つメンバーで構成され、民間セクター、市民社会、および教会の代表も含まれる。暫定首相の指名に関しては、評議会が選んだ候補者はハイチの次回の選挙には参加できないとされている。ガイアナの大統領は、カリブ共同体および他の国際機関がハイチでの権力の平和な移行と自由な選挙の実施に協力することを約束したと述べた。