13歳で「辞める選択をせざるを得ない」。女子サッカーの厳しい現状を変えようと、JFAとアディダスが乗り出す
2011年のFIFA女子ワールドカップ(W杯)で日本女子代表(なでしこジャパン)が優勝を成し遂げたのはもう13年前のことになる。アメリカ合衆国女子代表との決勝戦では試合終了間際に同点に追いつき、PK戦を制して世界一に輝いた。サッカーの世界大会において、男女含めてアジアの国が優勝したのはこれが史上初のことだった。 【一覧表】女子サッカー最新FIFAランキング。なでしこジャパンの順位は? この試合で同点弾を決めた上に、大会得点王とMVPをダブル受賞した澤穂希を中心とする、なでしこジャパンが日本の女子サッカー界に残した功績は多大なものだろう。 2021年には日本初の女子プロサッカーリーグであるWEリーグが開幕し、今年で4年目を迎えている。 一方で、育成年代に目を向けると、まだまだ発展途上感が否めないのが状況だ。男子のサッカーチームに比べると女子チームの数は圧倒的に少なく、5人に1人は13歳になるとサッカーを辞めてしまうという現状すらある。続けたくても環境がないということも一つの要因となっているだろう。(※)なでしこジャパンの植木理子は、「サッカーを続けたくても、辞める選択をせざるを得ない環境にあるのは、女子サッカーの課題だと思います」と話している。 そんな中、日本サッカー協会(JFA)は女子サッカー普及の一環としてあるプロジェクトを発足した。2020年に立ち上がった「HER TEAM」は、女子中学生のチーム創設支援を通し、U-15世代がプレーするための環境を整えることを目的としたアディダスとの共同プロジェクトである。 今年で5回目を迎えたこのプロジェクトでは、2025年度(2026年3月末)までに新規創設されるチームで、かつ、2027年3月末までに「女子」の種別でJFA登録を完了することを前提としたチームを対象に、チームの継続的な活動を支えるためのさまざまなサポートを行っている。 メンバー募集のための告知ツールやユニフォームの提供、定期的なオンラインミーティングなどの支援を約2年間受けることができ、JFA及びアディダスフットボール関連の活動には優先的に招待されるという特典までついている。 2023年女子W杯では、なでしこジャパンとして5得点をあげ大会得点王に輝いた宮澤ひなたも「女の子たちが本当に何も気にせず、楽しくサッカーができる環境をもっと増やしていけたらいいな」とこのプロジェクトに賛同の意を表している。 “サステナブル”な社会の実現を目指している現代において、それは女子サッカーも例外ではない。将来のなでしこジャパンになり得る人材を見過ごさないためにも、“持続可能な”サポートが必要とされている。 ※「HER TEAM」リリースより引用 (文:水野裕介)
フットボールチャンネル編集部