アメリカの小学校は「文法のミスを指摘するより“良いところ”を伸ばしてくれた」 在住ママが語る“現地校”の教育
日本の教育について考えるとき、海外の教育との違いが話題になることも多いですが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。今回はフィンランド、シンガポール、アメリカ(ニューヨーク)から現地の公立小学校に子どもたちを通わせているママ3人が集結し、日本と現地の教育事情の違いについて教えてくれました。子育て情報誌「AERA with Kids2023年冬号」(朝日新聞出版)からお届けします。 【写真】フィンランドのクリスマスディナーはこちら お話を聞いたママたち ○Hさん/在フィンランド4年。中3女子は現地校の英語クラスに、小6男子は現地校に通学中。「日本での経歴を生かして現地の資格を取得し、初めての起業に挑戦中」 ○Sさん/在アメリカ2年。平日は小5女子、小2男子、年中男子はともに現地校に通学中。「国民食ともいえるピザは、スーパーの冷凍食品でも大満足のおいしさ!」 ○Aさん/在シンガポール10年。中学生の長女と小学生の次女と三女の子育て中。「シンガポールは老人と子どもにやさしい。子連れと妊婦は電車に乗った途端に席を譲られる」 ○聞き手:古谷ゆう子/ライター・翻訳家。計13年をドイツ、フランスで過ごす。「現地の幼稚園に持参していたサラミサンドは今も忘れられぬ味」 ■カリキュラムや教育スタンスは? ――欧米の教育は、横並びを良しとするのではなく「個々の良いところを見つけ、伸ばしていく」印象があります。実際はどうですか? また、その国ならではの教育があれば教えてください。 Hさん 確かに、人と違うこと=肯定すべきこと、という感覚が根づいているように感じる、と子どもたちも言っています。クラスメートたちも思っていることを積極的に口にするようですし、教師たちからも「どう思う?」とよく聞かれるようです。一人ひとりの意見が尊重されていると感じる場面は多いようです。 Sさん アメリカは広いうえ、教師によって使用する教科書も異なると耳にしたことがあるので、私の話はあくまで一例にすぎませんが、子どもたちの学校生活を見ていて「日本とだいぶ違うな」と感じることはあります。 たとえば、2年生の息子は月曜に学校に行くと「週末にあった出来事を絵日記で書く」という課題が出されるのですが、息子の場合、アメリカに来て間もないこともあり、英語の文法がめちゃくちゃなんですね。一つの文章に、be動詞が三つも入っているような。でも、言いたいことは伝わるからか、つづりや文法の間違いが指摘されることはなく、教師たちは「楽しい週末だったね」とコメントして戻してくれる。細かい間違いを指摘するよりも、本人の頑張りを認め、良いところを伸ばしていく。そうした教育スタンスは、さまざまな場面で感じます。