日産「“すごい”スカイライン」登場! すごすぎて「もう完売」!? 420馬力の“旧車デザイン”モデル「スカイライン NISMO」再販はあるのか
そうした伝統を踏まえ、スカイライン NISMOの左右のフェンダーには赤い「GTバッジ」が復活しています。 外観には、レース活動で得た空力のノウハウを反映させた専用エアロパーツを装着していますが、“羊の皮をかぶった狼”らしく派手すぎない端正な佇まいとしているのも特徴といえます。 なお100台限定のスカイライン NISMO Limitedは、日産横浜工場でGT-Rのエンジンを組み立てる「匠ライン」で、特別な資格を持つ匠がひとつひとつを手組みで作り上げる高精度なエンジンを搭載するほか、特別装備として匠ラベルや専用シリアルナンバープレート、専用エンブレム、艶消しガンメタリック塗装のホイールなどを装着します。
超高性能なのに上質な「スカイライン NISMO」
このように全ての面で強いこだわりが込められたスカイライン NISMOに、公道で試乗する機会を得ました。 試乗車は上品なカーマインレッド。前席にはオプションのRECARO製スポーツシートが備わり、身体をしっかりと支えてくれますが、いわゆるチューニングカーのような荒々しさはありません。街中で走り出した印象も、思いのほか上品なものでした。
420ps・550Nmという高性能は、高速道路に入ってようやく発揮されます。その猛烈な加速感はやみつきになりそうで、欧州のハイチューンなスポーツセダンにもひけをとらないものです。 大径のスポーツタイヤと専用チューンの足回りながら、乗り心地も良好でした。 ちなみに欧州ライバル車の場合、走行モードをスポーツなどへ切り替えた際に、爆発的な吸排気などのサウンドが室内外へ響く仕組みを備えたモデルがあります。 スカイライン NISMOにはそうした過剰な「演出」はされていませんが、むしろそんな生真面目さも“羊の皮をかぶった狼”らしさと言い換えられるかもしれません。 しかし一方で、「音から感じられる走りの凄味」が欲しくなるのも確かです。 ちょっとやんちゃな見た目や、“NISMO”というネーミングからは「レーシング」なイメージも強く、それゆえジェントルな乗り味やサウンドにやや戸惑ってしまうのです。 車外騒音の規制は年々厳しくなっており、例えば巨大なマフラーなどを装備するのは現実的ではありません。ただ、迫力あるサウンドを意図的に車内へ響かせる試みは他社でもみられ、なにかしらの演出も欲しくなってしまうのは贅沢な望みでしょうか。 一方で、超高性能を実現しながら、スカイラインが歴代モデルで培ってきたGTカーとしての上質さもしっかり保ち続けている点こそが、スカイライン NISMOならではの魅力といえます。まさに日産が主張する「スカイラインGTの集大成」というクルマでした。 だとしたらネーミングも「スカイライン GT-B」(初代S54型スカイラインGTの市販モデル名)のような“GT”推しに、と思ってしまうのは、昭和世代の筆者(くるまのニュース編集部T)だけでしょうか。 ※ ※ ※ スカイライン NISMOの販売価格(消費税込み、以下同)は788万400円。RECARO製スポーツシート+カーボン製フィニッシャー装着車は847万円です。 ただし日産によると、1000台の限定台数は2024年6月現在ですべて完売しているといいます。 また100台限定のスカイライン NISMO Limitedについては、初代スカイラインGT誕生60周年を迎える2024年夏に発売される予定で、販売価格は947万9800円ですが、こちらも同様にすべて先行予約が埋まっているとのことでした。 現行スカイラインはデビューから11年目に突入し、いつフルモデルチェンジしてもおかしくないタイミングですが、いまのところ具体的な情報はありません。 そんな今こそ、再び「スカイラインをあきらめない」日産の姿勢を示す意味で、スカイライン NISMO第二弾の販売にも期待したいところです。
くるまのニュース編集部