静岡の橋桁落下工区 7月に架設再開 国1静清バイパス「清水立体工事」事故1年
2023年7月、静岡市清水区尾羽の国道1号静清バイパス「清水立体工事」で設置作業中の橋桁が落下し、8人が死傷した事故で、事故から丸1年が経過する来月、事故のあった工区で橋桁の架設が再開することが24日、分かった。発注者の国土交通省静岡国道事務所が同日、7月は土日を除き午後9時から午前6時まで周辺で片側1車線の対面通行を行う、と発表した。 同事務所は昨年12月中旬、地元住民らにおおまかな作業スケジュールを説明していた。工事が再開するのは、四つの工区に分かれる尾羽第2高架橋の桁架設のうち、事故の起きた東から二つ目の工区。事故では、長さ約65メートル、重さ約140トンの橋桁が高さ9メートルから落下した。第2高架橋のほかの工区ではほぼ完工している場所もあり、東から二つ目の工区の工事再開時期が焦点になっていた。 工事を担当するのは、事故を起こした名村造船所(大阪市)と日本鉄塔工業(東京都)の共同企業体(JV)。落ちた橋桁は、事故直後に八つに分割され現場から搬出された。このため、工事再開に合わせて新しい鋼製の橋桁を一から造り直した。工事では、工法も同じ「横取り降下」と呼ばれる方法を用いる。追加の安全対策などについて名村造船所は静岡新聞社の取材に「発注者の国に確認してほしい」と述べた。また、日本鉄塔工業は「対外的に正式に話せる内容はない」などと回答した。 事故は昨年7月6日未明に発生。業務上過失致死傷容疑による県警の捜査や、労働安全衛生法違反容疑に基づく静岡労働基準監督署の調査が今も継続している。国交省静岡国道事務所によると、清水立体工事は当初は26年春の上り開通予定だった。事故で遅れる見込みで、地元運送会社などからは早期開通を望む声も出ている。
静岡新聞社