バンカリング船がLNG燃料供給 下関市・長州出島で初、拠点形成へ[山口県]
環境への負荷が低いとされる液化天然ガス(LNG)で航行する船舶に燃料を供給するLNGバンカリング船を使ったLNG燃料供給作業が25日、下関市の人工島「長州出島」で行われた。長州出島では初めての実施で、近くの関門海峡や対馬海峡を航行する外航貨物船などに長州出島でLNGを供給していくことで、脱炭素化社会の実現に貢献したい考えだ。 九州電力と伊藤忠エネクス、日本郵船、西部ガスでつくる船舶燃料供給会社「KEYSバンカリング・ウエストジャパン」(北九州市)が下関市の三菱重工業下関造船所で建造し、4月から供給事業を実施している国内2隻目のLNGバンカリング船「KEYS Azalea」を使用。九電が管理する北九州市の戸畑LNG基地や下関市彦島にある同船の係留地と近い長州出島の地理的特性を生かし、官民が一体となって目指している下関港でのLNGバンカリング拠点形成を推進していく。 初となる供給作業の様子を九州地方整備局や下関市が報道陣に公開。長州出島に接岸している全長235メートルの石炭運搬用LNG燃料船に全長約82メートルのバンカリング船が横付けされ、クレーンを使ってホースを延ばして燃料船に接続し、LNGを供給した。オーストラリアや北米と1往復できる燃料を1回の作業で供給可能という。 下関市は2050年を目標に温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティしものせき」を21年に宣言。市港湾局の梶山寛樹参事は「バンカリングは陸上交通でいうとガソリンスタンドのような機能。長州出島の利用促進とともに脱炭素化社会に向けた貢献をしていく」と語った。 市によると、LNG燃料船は世界で現在600隻余りが運航。28年には約2倍に増えるとして、LNGバンカリングの需要は高まっていくとみている。