キングサーモンの卵を何度も生産できるニジマスを作り出すことに成功と発表 東京海洋大の研究グループ 養殖の効率化などに期待
東京海洋大学の研究グループは、1度しか卵や精子を生産できないキングサーモンの卵を、何度も生産できるニジマスを作り出すことに成功したと発表しました。 高級なサケ類の養殖の効率化などが期待されるということです。 天然のキングサーモンは希少価値が高く川で生まれ、数年間海で過ごしたあと、自分の生まれた川に帰り、生涯で1度だけ産卵などの繁殖活動を行う「一回産卵型」のサケ類です。 キングサーモンは繁殖ができるよう成長するまでに3年から7年はかかるうえ、産卵をしたあとにすぐに死んでしまうことから、養殖するには時間やコストなどがかかり、不向きだとされてきました。 今回、東京海洋大学の吉崎悟朗教授らの研究グループは、サケの仲間で毎年繁殖活動を行う「多回産卵型」であるニジマスに注目。生殖細胞を取り除いたニジマスの稚魚にキングサーモンの生殖幹細胞(卵と精子のもととなる細胞)を移植したところ、キングサーモンの卵や精子を毎年生産するニジマスを作り出すことに成功したということです。 このニジマスはキングサーモンのように繁殖活動後に死ぬことはなく、メスは3年間、オスは4年間にわたり正常な卵と精子を繰り返し生産できたとしています。 これらのキングサーモンの卵と精子を受精させることで、代理親のニジマスからキングサーモンの稚魚を生産することにも成功したということです。 ニジマスはオスで1年、メスで2年ほどで成長し、毎年産卵ができることからこの手法が確立されれば、毎年ニジマスから安定的にキングサーモンを生産することが期待できるということです。 研究グループはこの技術を活用し高級なサケ類の養殖生産の効率化などに貢献したいとしています。