米上空に謎の無人機 報告5000件、政治問題に
【ワシントン時事】米東部ニュージャージー州などの上空で11月18日以降、夜間に多数の無人機が目撃され、住民の不安を呼んでいる。 米当局は「多くは商業用・趣味用の無人機か、有人機や星を誤認したものだ」などと説明しているが、謎は深まるばかり。情報公開を求める声は日増しに強まっている。 連邦捜査局(FBI)や国防総省、国土安全保障省などは今月16日の共同声明で、目撃報告が5000件超に上り、うち約100件は追跡調査が必要だと公表。その上で「国家安全保障や公共の安全を脅かす活動とは判断していない」と強調した。 とはいえ、これらの無人機がどこから来たのか、誰が何のために飛ばしたのかは不明のまま。無人機の報告を受け、中西部オハイオ州の空軍基地で空域が一時閉鎖されたほか、東部ニューヨーク州の空港も発着を一時取りやめるなど、影響は広がりつつある。 無人機が近年急速に普及し、飛行自体も違法ではないため、当局は対応に苦慮している。国防総省のライダー報道官は、17日の記者会見で「無人機が基地の近くを飛ぶのは珍しくない」と述べ、追跡していないと明らかにした。 だが、そうした姿勢には不満の声が出ている。ニュージャージー州のマーフィー知事は、バイデン大統領への書簡で「住民はより多くの情報を知らされるべきだ」と主張。トランプ次期大統領もSNSで「(政府は)国民に(何が起きているかを)知らせろ。そうでないなら(無人機を)撃墜しろ」と訴えた。 米議会でも当局への批判が強まっている。ギリブランド上院議員(民主党)は、CNNテレビで「これは安保に関わる問題として扱うべきだ。政府の対応は不十分だ」と指摘。無人機の規制強化を求める声も上がっている。