「話がちがう!」4月中に早期退職する新入社員…企業側は情報開示、就活生は自己分析を
新年度がスタートしてまもなく3週間。本人に代わって退職の意向を企業側に伝える退職代行サービスを行う会社には早くも新入社員からの依頼が相次いでいるという。「入社前と話がちがう」。多くが労働環境への不満だというが、人材獲得競争が激化する中、企業にとって時間やコストをかけて採用した社員の突然の退職は避けたいところ。こうしたミスマッチをどう防げばよいのか。 【ランキング】新卒入社後すぐ辞める理由は? 「退職希望の旨を、本人に代わりお伝えさせていただきます」。丁寧な口調で電話をかける女性。「退職代行モームリ」を展開するアルバトロス(東京都大田区)の担当者だ。退職を希望する女性の依頼を受け、企業側に退職の意思を伝えて交渉。退職届を郵送することや、貸与物の返却の手順などを確認し、あっという間に手続きを終えた。中には、20分ほどで終わるケースもあるという。 こうした退職代行サービスの需要は年々増している。同社がサービスを開始した令和3年以降、20代を中心に依頼が舞い込み、これまでに約8千件を受注。今年度に入っても絶えず、4月1~18日の依頼件数は830件に上っている。そのうち新入社員からが約16%を占めている。 ■新人の退職理由は「労働環境」 なぜ代行サービスに依頼するのか。依頼者の中には「退職届を破られた」といった、いわゆるブラック企業やパワハラの悩みを抱えるケースがあるが、新入社員の場合は「入社直後で退職手順が分からず、誰に相談したらいいか分からない」という人も。同社の谷本慎二社長によると、退職理由は人間関係や給料面など多岐にわたるが、新入社員の場合は労働環境についてがほとんどだという。 たとえば「業務開始の30分前に出社したのに、1時間前の出勤を要求された」や、「入社前に提示された給与と入社後に示された金額が異なっている」―といったものだ。 実際、静岡市の食品メーカー「いなば食品」では今春、社宅の老朽化が原因で一般職採用の16人が入社を辞退したことを明らかにした。入社前に提示された労働条件との相違もあったと報道されている。 ■双方の工夫でミスマッチ防げ