新型やくも「インフルエンサー試乗会」の舞台裏、実はかなり優遇されていた?
新型やくも号の魅力発信
2024年4月6日、岡山~出雲市間を結ぶ特急やくも号の新型車両となる273系電車が営業運転を開始した。JR西日本では、273系電車の営業開始に先立ち3月23日にはユーチューバーなどSNSで強い影響力を持つインフルエンサー向けの試乗会を実施した。 【画像】えっ…! これが60年前の「新横浜駅」です(計17枚) 近年のSNSの急速な普及拡大により、SNSにおいて多数のフォロワー数を持つインフルエンサーが誕生し、おのおののかいわいで注目を集めている。 JR西日本ではこうしたインフルエンサーが持つ影響力、拡散力に注目して試乗会に招待し、新型やくも号の魅力を発信してもらおうという狙いがあったようだ。
10組15人で新型やくも1編成を貸し切り
試乗会当日となる3月23日の午前8時過ぎの出雲市駅。改札口前に設置された特設ブースでは新型やくも号の試乗会受付が始まった。 この日の試乗会は、インフルエンサー向けの試乗会のほかにJR西日本アプリ・ウェスター会員向けの試乗会も同時に行われ、特設ブースでは双方に対する受付が行われていた。 インフルエンサー向けの試乗会は、出雲市~米子間、米子~生山間にA~Dコースまでの上下4コースが設定された。試乗列車は1編成4両編成を2編成つなげた8両編成で運転され、このうち米子側4両がインフルエンサーの貸し切り、出雲市側4両がアプリ会員向けとなった。 インフルエンサー枠は、各コースにつき1組最大4人の10組のインフルエンサーが募集され、募集条件はチャンネル登録者2万人以上を持つユーチューバー、またはX(旧ツイッター)やインスタグラムなどのSNSで1万人以上のフォロワー数を持つものとされた。 出雲市駅を9時16分に発車する米子行きのAコースには10組15人のインフルエンサーが参加。対して、アプリ会員向けの試乗会では100人が参加したがこちらの応募倍率は56倍となりかなりの狭き門だった。
効果的な情報発信戦略
企画の背景についてJR西日本山陰営業部に話を聞いたところ、ふたつの理由があるという。ひとつは近年、 「最大の情報発信ツールになりつつあるSNSは、媒体広告にはない拡散力があること」 そして、もうひとつは、JR西日本山陰営業部が事務局を務めている「山陰観光連盟」のSNSでの情報発信を通じて「その影響力の高さを実感していた」ことがその理由だ。 試乗会開催の目的は「多くの方々に新型やくも号に『乗ってみたい』と思っていただく」ことにあり、そのためには 「SNSで影響力のある方に、車両のリアルなよさを発信してもらい、それを多くの方々の目に触れていただくことが効果的である」 と考えたという。 インフルエンサーの条件については、「マイクロインフルエンサーと呼ばれる層」以上を対象としたという。インフルエンサーマーケティングの世界ではインフルエンサーは4種類に分けることができ、そのなかでマイクロインフルエンサーとは、フォロワー数が1万人~10万人程度で、特定の分野に精通しフォロワーとのコミュニケーションがよくとれていることから投稿に対するリアクションの割合が高い特徴を持つ。 なお、ユーチューブについては、「映像による情報発信は他のSNSと捕獲して情報の訴求力が高い」ことから、より多くの方々に新型やくもの魅力を知ってもらうために 「2万人という高めの目標設定をした」 という。