【高校サッカー全力新聞】栃木・矢板中央「伝統を受け継ぐ“赤い壁”」ベスト4入り目指す
日光や那須など有名な観光地で知られ、外国人観光客も多く訪れる栃木県。その北部に位置する矢板市は、緑豊かで穏やかな地域です。また、矢板市は「サッカーのまち矢板」を掲げていて、市内には育成に力を入れるサッカーチームや、トップチームでは社会人チームの「ヴェルフェ矢板」が今シーズン関東一部昇格を決めるなど優秀な成績を収めています。 そんなサッカーが盛んな矢板市で注目が集まる、矢板中央高等学校サッカー部。12月28日に開幕する第102回全国高校サッカー選手権大会。県予選決勝では、延長戦の接戦を繰り広げ、2大会ぶりに全国への切符を手にしました。 全国の初戦は、12月29日の1回戦、大阪代表・東海大仰星と対戦します。
■矢板中央の軌跡・名将の指導で勝つチームに
矢板中央が全国大会に初めて出場したのは、83回大会。この時は初戦敗退となり、2回目の出場となった86回大会では2回戦で敗れるなど、選手権で勝つことの難しさを痛感しました。髙橋健二監督はそれまでテクニック・攻撃重視のチームスタイルを作ってきました。 転機は10年ほど前。監督として帝京高校サッカー部(東京)の黄金時代を支え、多くのJリーガーを輩出した古沼貞雄さんに頭を下げ、アドバイザーとして迎えます。 古沼さんの指導は基本が中心。繰り返し行う基礎練習の成果がみるみる現れ、試合で白星を重ねるチームに成長したといいます。 その後、現在のチームスタイルである守備に重きを置いた「堅守速攻」のサッカーが代名詞となり、過去4大会ではベスト8が1回、ベスト4が3回と全国屈指の強豪校に成長していきました。
■ベスト4の壁「伝統の堅守速攻 新たな歴史を刻む」
「堅守速攻」を武器に、良い守備から素早い攻撃につなげる伝統のスタイル。フィジカルに恵まれた強靭なディフェンス陣でゴールを守り、ボールを奪えば素早いショートカウンターで得点を狙います。 力強さを際立たせる赤と黒のユニフォームのデザインは、就任30年目の髙橋健二監督がブラジルで影響を受けたものです。 初戦の相手はキャプテン井上拓実選手の出身地でもある大阪の東海大仰星。夢の国立競技場でのプレーを叶えるには、強豪校の壁を4つ乗り越えなくてはなりません。 去年、全国の舞台を逃した先輩たちの悔しい思いも背負い、矢板中央の「堅い守り神」を降臨させることはできるのか。次こそ、ベスト4の壁を超えるべく、“赤い壁”は新たな歴史を刻みます。 (取材・文:高校サッカー選手権民放43社/とちぎテレビ)