「印鑑登録証の偽造」よくある地面師詐欺から一変…土地取引に応じた経営コンサルタントが語る、4億円取引後に起こった”まさかの展開”
印鑑登録証の偽造
「身分を証明するものはお持ちですか」 そう問われることまで計算済みだ。老人は窓口の言葉を待っていたかのようにポケットから運転免許証を差し出した。 実は春山は運転資格を取得したことがない。すぐにばれるような粗末な偽造免許だ。が、区役所の窓口は疑わない。免許証のコピーをとり、すんなり印鑑登録廃止の申請を受け付けた。あとは新しい三文判で印鑑登録をすればいいだけだ。それは、もとより本物の春山が申請したものではない。しかし偽造印刷した書類でもない。 ニセの春山は新たな印鑑登録の証明書を手に、公証役場に向かった。そこではなりすましと疑われる要素はない。こうして本人確認の証明を取得したのである。 そこから先の地面師一味の動きは素早い。中野区役所や公証役場で手続きをしてからおよそ一週間後の4月5日、買い手として見つけてきた千葉県の建設会社との間で売買を成立させた。相続税評価では建物の価値は140万円と二束三文だが、土地と合わせた売却額は優に4億円を超えた。 ここまでは、いわばよくある地面師事件である。だが、ここから事件は、さらにもうひと転がりする。 『「そうして騙されたのが、この私なのです」…被害者である経営コンサルタントが語る、複雑すぎる“入れ子構造”の「地面師詐欺」』へ続く
森 功(ジャーナリスト)
【関連記事】
- 【つづきを読む】「そうして騙されたのが、この私なのです」…被害者である経営コンサルタントが語る、複雑すぎる“入れ子構造”の「地面師詐欺」
- 【前回の記事を読む】「2億4000万を騙し取る」も有罪にできず…地面師グループの「緻密な計画」を暴くべく奮闘する“警視庁捜査2課”の「苦悩」
- 【はじめから読む】念願の新築マイホームが借地に…「地面師」詐欺を取り巻く「混沌」と「闇」、警察が悔やんだ衝撃の展開とは
- 《積水ハウス地面師事件》主犯格が「ファーストクラス」で悠々と高飛び…「内通者」の可能性まで囁かれた警視庁の「大失態」
- 「積水ハウス事件」首謀者・“内田マイク”の正体…世間が不動産バブルに沸く中、彼はいかにして「地面師のドン」になったのか