「マッドマックス」聞いたことあるけど…どんな作品?〝世紀末モヒカン暴走族〟のルーツ、実はシリーズもの
引き継がれるシリーズの“らしさ”
公開を前に、今作でもプロデューサーを務めるミッチェルさんに話を聞きました。製作陣として、なぜ今、フュリオサのオリジン(起源)を描こうと考えたのでしょうか。 「2015年の怒りのデス・ロードは、実際には3、4日という非常に短い間に起こった話です。ただ、作中で重要な役割を果たすフュリオサが、なぜあのような行動に至ったのか、ということを描くには、より長い期間が必要でした」 そのため、前作の製作開始時(2010年前後)、同時並行で本作とテーマを同じくするアニメ作品が製作される構想があった、と明かします。しかし、実際にフュリオサをテーマにした作品の公開まで、それから約15年がかかったことになります。 「前作が公開されてから世界情勢は激変しました。映画も映画館のためだけでなく、サブスクが増えてくることで、映画を製作すること自体がとても難しくなってしまいました。かなりの投資をしなければいけませんし、だからこそ必ず成功させなければなりません。 さらにコロナ禍、撮影地の天候が不安定だったことが影響し、本作の製作には時間がかかってしまった。そして、ミラー監督は同じことはやりたくない、という信念を持った方ですから、やはりそれだけ価値のあるストーリーを選び、納得しなければ撮影したくない、ということで、かなり時間がかかりました」 また、本作に登場するヴィラン(悪役)、イモータン・ジョーとも対立するディメンタス将軍を演じたのは人気俳優のクリス・ヘムズワースさん。このキャスティングには、マッドマックスシリーズの成り立ちが関係していました。 「クリスはオーストラリア出身で、特にクリスの父は初作のころから大ファンだそうです。今回、クリスはバイカーたちのリーダーとして登場します。今回も、たくさんのバイクシーンというシリーズならではの特徴がありますが、その撮影地の多くはオーストラリアです。今回はある意味、オーストラリアの映画ですね」 若き日のフュリオサを演じたのはアルゼンチン育ちで運動能力に長けたアニャ・テイラー=ジョイさん。ミッチェルさんは「このようなパーフェクトな二人のおかげで、この映画が成り立ちました」と話します。 最後に、マッドマックス以前から、40年以上にわたり一緒に仕事をしているミラー監督について、こう振り返りました。 「ミラー監督はほのぼのとした『ハッピー・フィート』など対照的な作品も撮影していますが、彼の頭の中には何層ものアイデアがあります。今回もすばらしい作品になったと思いますので、ぜひこれまでのマッドマックスを観たことがある人にも、ない人にも、観ていただきたいですね」