米中新貿易戦争勃発で習近平秘策の「新質生産力」が壊滅へ
最後の話し合いとしてのイエレン訪中
4月5日から8日までの4日間、イエレン・米財務長官は中国を訪問した。訪問中、中国の財政部長(財務大臣)、中国人民銀行総裁、そして経済政策・金融政策担当の何立峰副総理、李強首相と相次いで会談を行った。 【写真】習近平はほんとうに独裁者なのか?「親露抗米」の政策転換に再び失敗 一連の会談において、イエレン氏はまず中国側に対して、 1)中国企業によるロシア軍事産業への支援に強い懸念を示し、「支援する場合は重大な結果を招く」と警告した。 2)中国産EV車を念頭に、政府補助を受けた中国の過剰生産が米国と世界の産業と雇用に「破滅的な打撃」に対して強い懸念を示し、中国側に「政策転換による改善」を求めた。 この二つの問題で業を煮やしているバイデン政権は、決定的な対立を避けるための「最後の話し合い」としてイエレン氏を中国に遣わした訳である。 米国からの1の要求に対し、中国側は一連の会談でどう答えたか報道はないので不明であるが、4月10日、中国外務省の毛寧報道官は定例の記者会見で、中国とロシアには正常な経済貿易協力を行う権利がある。このような協力は妨害や制限を受けるべきではなく、中国は非難や圧力を受け入れない」と語った。 それは明らかに、イエレン氏の訪中を強く意識したものであるが、中国政府は結局、この問題に関してイエレン財務長官が伝えたバイデン政権の懸念と要求を一蹴したとみられる。
ロシアを使った対米示威行為
さらに驚いたことに、イエレン財務長官の北京訪問中の4月8日、ロシアのラプロフ外相が王毅外相の招待で北京訪問を開始した。9日、習近平主席は自らロシア外相との会談に臨んだ。 このような際どい外交行動の意味するところは要するに、習近平政権は米国の警告と要求を完全にはねつけて、ロシア支援を引き続き行っていくことの断固とした意思を表明したのであって、米国への示威行為でもある。 そしてそれに対し、イエレン財務長官は8日に北京で行った締めくくりの記者会見では、「ロシアの国防産業基盤に軍事品やデュアルユース品を流すような重大取引を促進する銀行は、米国の制裁リスクにさらされることになる」と述べ、中国の関連銀行に対する金融制裁の発動を示唆。 こうしてみると、米国側が強い関心を持つ「対ロシア支援」の問題をめぐり、米中関交渉は完全に決裂し対立が決定的なものとなり、金融制裁を含む米国側による制裁発動の可能性は大である。