“ほぼ全裸ポスター”掲出の白塗り候補がXで主張していた意外な公約 支持を集める選挙ポスターとは?臨床心理士が分析
さて今さらだが、河合候補のXで公表されている公約の中には“動物殺処分をゼロにします!”といったものもある。コロナ禍ではペットブームが起こり、タレントたちの保護活動を写し出した番組はテレビでも人気のコンテンツだ。もし候補者がこの公約を前面に押し出し、保護犬や保護猫と写っているポスターを作製し掲示していたら、与えるインパクトも印象もかなり違ったのではないだろうか。しかし今回のようなほぼ全裸のポスターの掲出では、名前を売るどころか、人騒がせな目立ちたがり屋でしかない。 白塗りのコスプレは目立つ。しかし、それが選挙結果につながるとは思えない。不気味さは選挙にはマイナス要素でしかない。選挙にとって変に目立つより顔の美醜の方が重要、魅力的な顔が選挙結果を左右するからだ。容姿が優れる候補者ほど選挙でより多くの票を得る傾向があることは、これまでの研究結果でも知られている。 日本人にもこれが当てはまる。RIETI(独立行政法人経済産業研究所)の研究プロジェクト「人々の政治行動に関する実証研究―経済産業面での政策的課題に対するエビデンスベースの処方箋の掲示を目指して」では、候補者の外見によって選挙結果が左右されることが確認されている。この研究では、美顔度が同程度の候補者らより、美顔度の高い候補者のことを知りたいという傾向がみられ、顔の美貌が有権者の関心をひきつけ、選挙の勝敗の見通しにも影響を与えると報告している。 今回の都知事選では他にも、NHKから国民を守る党が、党への寄付者にポスターを掲示枠を提供した結果、候補者と無関係なポスターが掲出され問題になるなど、当たり前だった社会のルールが通用しなくなってきた。おかしなポスターや利己的な掲示板の利用より、選挙の掲示板廃止を公約に掲げる候補者のポスターが見たかった。