「正直、高校からプロにいく選手とは思わなかった」ソフトバンク巻き返しのキーパーソン、 今宮健太の分岐点
巻き返しを目指すソフトバンクで好調なスタートを切った今宮健太がスターとなる前夜に迫った。 【写真で振り返る】プロ野球選手たちのスターとなる前夜
期待のリードオフマン
2011年からの10年間で7度の日本一を達成するなど黄金時代を築いたソフトバンクだが、過去3年間はオリックスの後塵を拝する結果となっている。 2023年は近藤健介、有原航平、ロベルト・オスナ、2024年も山川穂高など大型補強を敢行し、巻き返しを図っているが、そんななかで貴重な生え抜き選手として存在感を示しているのが今宮健太だ。 一時は怪我に苦しむシーズンが続いたが、2022年は見事な復活を果たし5年ぶりのベストナインを受賞。2023年も2年連続で規定打席に到達し、2024年もここまでリードオフマンとして見事な働きを見せている。
高校からプロに進むタイプの選手ではなかった
そんな今宮だが、高校時代は明豊で早くから中心選手として活躍。1年秋にはエースとしてチームを九州大会優勝に導き、明治神宮大会にも出場している。 初めてプレーを見たのは2007年11月11日に行われた下関商との試合だった。 この時は1番、ピッチャーとして出場。6回を投げて2失点(自責点)としっかり試合を作り、チームの勝利に大きく貢献した。 しかし当時から目立っていたのはピッチングではなく、バッティングの方で、トップバッターとして4安打を放つ活躍を見せていた。 当時のノートには以下のようなメモが残っている。 「1年生ながらエースとトップバッターというのはセンスのある証拠。 ただどちらかというとバッティングの良さが目立つ。少し無駄なバットの動きが多く、急にバットを引いてトップを作るのは気になるが、柔らかいリストワークでバットコントロールの良さは出色。 全身をしならせるようにして振り切ることができ、ヘッドスピードも目立つ。引っ張るだけでなく広角に打てるのも長所。 (中略)ピッチングはスライダー、シュートを上手く使いまとまりあるが、ストレートの勢いはもうひとつ。フィールディングの良さもあり、将来的には内野手の方が大成しそう」 メモでも少し触れているが、立ち上がりからとにかくスライダーが多く、良く言えば器用だが、悪く言えば小手先でかわすようなピッチングだったことをよく覚えている。 またバッティングについても褒めている記録はあるものの、当時のプロフィールは171cm、64kgと小柄で、正直高校からプロに進むタイプの選手とは思わなかった。 翌年春の選抜高校野球では初戦で常葉菊川(現・常葉大菊川)に敗れているが、この時の印象も同様のものだった。