トレーニングに臨むJ3大宮DF市原吏音（撮影・佐藤成）

＜明治安田J3：大宮3－2福島＞◇13日◇第32節◇NACK 　J3大宮アルディージャはホームで福島ユナイテッドFCに競り勝ち、1年でのJ2復帰を決めた。 　U－19（19歳以下）日本代表DF市原吏音（19）は、試合終了のホイッスルを聞くと腰に手を当てて喜びをかみしめた。 　高校3年の昨季途中から主力に定着し、不調のチームで奮闘したが降格を経験した。今年は1月にアジアカップ（杯）カタール大会に出場した日本代表にトレーニングパートナーとして帯同した有望株。開幕からレギュラーとしてここまでリーグ最少失点の守備陣を支えた。 　昨年夏頃までは関東1部の強豪大学への進学を決めていたが、プロでやる覚悟と自信を深めて断った。クラブのJ3降格に伴い、オフにはJ1クラブなどへの移籍、チーム残留と迷った。「いろんな選択肢があって。本当に悩んだ」。親や仲間にも相談したが、最終的には自分で残ることを決めた。自身の成長と、小学4年からお世話になったクラブへの恩返しのために。「本当に昇格、優勝だけを考えてここに残った」。 　環境はJ1やJ2には劣る。それでも前向きに、がむしゃらに取り組んだ。「移動とかいろいろな面でよりタフになれたと思いますし、例えばJ1で出られなかった時よりも試合に出て少しでも経験を積んでとか、昇格争いとか、去年は降格争い経験してるんですけど、そういう経験というのはできている」と一回り大きくなった。 　高校生活が終わり、今季からは自由に使える時間もお金も増えた。チームのフィジカルコーチや個人で出向いたトレーナーのもと、筋力トレーニングに励んだ。体重はデビュー時の78キロから83キロの5キロアップ。「ちょっとごつくなったと思いません？」とちゃめっ気たっぷりに話す。目標の海外でプレーするために、英語の勉強も準備を進める。 　成長の先につかみ取ったJ2昇格。だからこそこう言い切れる。「これがベストの選択だった」。【佐藤成】